第109回ILO総会本会議初日

壊滅的な新型コロナウイルス危機は人間を中心に据えた回復政策を要請すると説くILO事務局長

記者発表 | 2021/06/07
本会議初日に演説を行うガイ・ライダーILO事務局長 © M. Crozet / ILO

 187のILO加盟国中175カ国から4,300人を超える政労使代表が登録してILO史上初めて、新型コロナウイルス危機の影響によってバーチャル形式で開催されている第109回ILO総会は、総会役員を選出した2021年5月20日に公式に開幕しましたが、6月7日から本会議における議論を開始しました。本会議初日には、ガイ・ライダーILO事務局長と理事会議長を務めるアプルバ・チャンドラ・インド労働次官がそれぞれ、討議資料となる事務局長報告と2年間の理事会活動を記した理事会議長報告を提出しました。総会労使グループの議長を務めるレナーテ・ホルヌング=ドラウス・ドイツ使用者代表とカテレーネ・パスキエ・オランダ労働者代表による冒頭演説も行われました。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、新型コロナウイルスの世界的な大流行が露わにした「私たちの社会の拡大しつつある多様な不平等」の結果とその対処への過去の失敗を強調し、コロナ禍が仕事の世界に与えている壊滅的な影響は、人間を中心に据えた回復政策の必要性に光を当てることになったと指摘しました。そして、「コロナ禍によって引き起こされた人間の受難の総和は、その集団的な失敗よりもはるかに大きく、この社会正義の殿堂において、私たちは何よりもまず、このことから結論を導く必要があります」と訴えました。

 事務局長はさらに、健康危機を克服し、それが社会や経済に与えている影響の緩和に向けてできることは何でもしようとの諸国政府の努力と公約を評価した上で、「世界中の人々が強靱かつ持続可能で、より公正かつより良い未来に至る回復を望み、それに手を伸ばしている中で、本総会が開かれることは極めて重要」と説明しました。そして、2019年のILO総会で採択された「仕事の未来に向けた創設100周年記念宣言」が「新型コロナウイルス危機からの人間を中心に据えた回復を構築するための」高く評価され、合意が達成されたロードマップを提供することに出席者の注意を喚起しました。

 また、「コロナ禍は保健政策、社会・経済政策、金融政策、貿易政策、知的所有権政策が実際、いかに切り離せないほどにつながっているかに光を当てることになりました。私たちはその気づきを梃子として、正に100周年記念宣言が私たちに求めているように、多国間体制のより良い整合性を恒常的に育む必要があります」とした上で、「本総会でそのような人間を中心に据えた回復のための地球規模の対応を呼びかけ、形作る成果文書を採択することは、非常に高い価値を持つことになるでしょう」と訴えました。

 特別ゲストとして演説したスイスのギィ・パルムラン大統領は、「労働市場がまだショック状態にあり、経済、仕事、人民を支え続けなくてはならない時期」に開かれるILO総会の特別の重要性を指摘した上で、「私たちの経済の回復が社会と人間を中心に据えた有意義な取り組みとなるよう確保するために講じるべき措置に関して、私たちを導く」ILOの創設100周年記念宣言の実行に向けてたゆみなく努力することを出席者に呼びかけ、次のように述べました。「足踏み状態、恐れ、革新の不安をうち捨てて、あらゆる危機が私たちに提示する機会を捉えようではありませんか。危機が私たちに強いている新たな相互依存、とりわけ保健、環境、教育、財政、デジタル、仕事、社会の間の相互依存はさらなる協力を要請します。これはまず政府間の協力ですが、社会的パートナーである労使との協力も必要です」。

 第109回ILO総会では、人間を中心に据えた危機からの回復のための政策に関する手引きを示すであろう新型コロナウイルスに関する成果文書や、危機によって現在の仕組みの不十分な点が非常に冷酷に暴露された今、決定的に重要なテーマである社会的保護に関する討議が行われます。従来通り、国際労働基準の適用監視も行われます。

 今年の総会は2部制になっており、第1部は6月19日に閉幕します。2021年11月25日~12月11日に開かれる第2部では、不平等並びに技能及び生涯学習の問題が検討されます。

 総会本会議の模様はILOのウェブサイトを通じて動画でご覧になれます。YouTubeTwitterLinkedInといったソーシャルメディアを通じた発信も行われます。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。