パートナーシップ

新型コロナウイルスによる打撃を受けたラオスの衣料労働者1万7,000人を支援する所得補助開始

記者発表 | 2021/02/23
コロナ禍の影響を受けたラオスの衣料労働者に緊急所得支援(英語・1分1秒)

 ラオス社会保障機関は2021年2月23日に新型コロナウイルスの世界的大流行によって影響を受けた国内の衣料労働者最大1万7,000人に90万キープ(約1万円)の緊急所得支援を2カ月間提供することを発表しました。計180万ドルに及ぶ一時金の現金支給は労働者の減収を緩和し、事業の継続を支え、使用者の労働異動関連経費の低減を手助けすることが期待されます。ILOの技術支援によって実現したこの事業の資金はドイツ連邦経済協力・開発省から拠出されます。85%を女性が占める受給資格者には、3月末までに現金が支給されることになっています。

 パデウンフォーン・ソンタニー労働・社会福祉副大臣は、「この支援は労働者と衣料品工場に利益をもたらすだけでなく、社会保障制度の支払いメカニズムと管理能力の強化を助け、さらにまたラオスにおける政労使三者の協力体制と社会対話も後押しすることでしょう」と期待を述べています。

 約2万6,000人を雇用するラオスの衣料品部門は新型コロナウイルスの世界的大流行の大打撃を受け、多くの工場が生産を縮小し、従業員を業務から解放し、時には廃業に踏み切っています。

 ILOの支援を受けて国の主体性や政府、使用者、労働者による共同監督、透明で説明責任を果たす事業運営などといった社会的保護に関する国際原則に沿った仕組みが構築されました。準備過程に関与したラオス衣料品産業協会(ALGI)とラオス労働組合連合(LFT)は、今後もこの仕組みの運営を支援することになっています。イェンス・ルトケンヘルム駐ラオス・ドイツ国大使は、「危機の期間に適応力があり、慢性的な脆弱性と新たな脆弱性の両方に対応できる力強い社会的保護制度が決定的に重要」と指摘して、ラオス社会保障機関に向けたこの支援に満足の意を表明しています。

 この緊急計画はラオス社会保障機関の既存の社会保障提供の仕組みを利用することによって、管理費の節減と支払いの迅速化を助けると同時に国の失業保険制度の財政負担を緩和します。ラオス社会保障機関は地元の携帯電話網運営事業者を経由した電子支払いという新たな支払い方法も試行的に用いることによって、とりわけ銀行口座をもっていない衣料品産業労働者の金融包摂を高める予定です。

 コロナ禍はラオスで失業保険制度に対する需要の急激な増大を招き、衣料品部門だけでも2019年に4億658万キープ(約470万円)だった支払い額が新型コロナウイルスの流行が始まってから13.3億キープ(約1,538万円)へと3倍以上に膨らんでいます。

 ILOタイ・カンボジア・ラオス国別事務所のグレアム・バックリー所長は、新型コロナウイルスによって大打撃を被ったラオスの衣料品産業における「所得支援は、この困難な期間を労働者が生き抜き、コロナ禍の影響が和らいだ時に操業を再開できるより良い立場にあるよう、企業が従業員を維持する助けになるでしょう」と評しています。


 以上はILOアジア太平洋総局によるビエンチャン発英文記者発表の抄訳です。