強制労働

強制労働に対する戦いにおける50歩の前進

記者発表 | 2021/03/26
ガイ・ライダーILO事務局長メッセージ(英語・53秒)
 あらゆる形態の強制労働に終止符を打つ決意を表明されたアフリカ、アジア太平洋、中央アジア、欧州、中南米の50カ国に祝意を表したいと思います。これらの国々は、強制労働を防止し、被害者を守り、被害者の司法と救済手段への道を確保することを公約されたわけです。今こそ他の全ての国もこれに続き、議定書を批准して、いまだに強制労働に従事している女性や子どもを含む2,500万人の方々の暮らしに真の違いをもたらしてくれることを望みます。

 強制労働に対する行動を起こすことを各国政府に求め、「1930年の強制労働条約の2014年の議定書」の50カ国による批准を当初目標に掲げてきた「自由のための50カ国キャンペーン」の目標がスーダンの批准によって達成されたことを記念する式典が2021年3月26日にバーチャル方式で執り行われ、スーダンのアリ・イブン・アビ・タリブ・アブデルラフマン・マハムード大使よりガイ・ライダーILO事務局長に批准書が寄託されました。スーダンからは同時に、「1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」と「1976年の三者の間の協議(国際労働基準)条約(第144号)」の批准書も寄託されました。

 第87号条約と第29号条約議定書の批准は、2019年7月にスーダンが民主化を始めてから初めて行われるILO基本条約の批准であり、これによって同国による基本文書全ての批准が完了しました。今回の批准によって同国の批准条約総数は18本になりました。

 強制労働条約(第29号)を現代の問題に対応させるものとして、2014年の総会で採択された第29号条約議定書は、被害者保護、補償などの適切かつ実効的な救済を得る機会の提供、加害者の制裁などによって、人身取引や債務奴隷、奴隷制度を含む強制労働の防止と撤廃に向けた実効的な措置を講じることを批准国に求めています。スーダンによる2本の条約と議定書の批准は2021年3月17日に行われましたが、翌18日にルクセンブルクからも批准書が寄託されたことにより、議定書の批准国は現在51カ国になっています。

 批准書寄託を受けて、ガイ・ライダーILO事務局長は、「女性や若者を含み社会の隅々に至るまで社会・経済事項について自分たちの声を聞かせる十分な機会を形成する包摂的な移行過程を下支えする」このILOの主要3文書の批准を歓迎した上で、政府が概説したように民主主義への実効的な移行を円滑化する上での結社の自由の重要性を強調しました。さらに、前日の25日は「奴隷及び大西洋間奴隷貿易犠牲者追悼国際デー」であったことに触れ、「強制労働を撤廃し、具体的な人身取引対策を講じるとの公約がスーダンから改めて示されたことは、この日を記念するにふさわしい」出来事であるとし、さらにまた、「この批准によって、スーダンはディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)及び国連の2030年の持続可能な開発目標の達成に積極的に貢献」していると評価しました。

 スーダン大使は「この批准は国際社会の支援の下、民主主義、平和、安定の強化に取り組む我が国の公約を確認するもの」と述べてこの瞬間の重要性を強調した上で、「ディーセント・ワークの機会を形成し、新型コロナウイルスの世界的大流行が経済及び社会に与えている影響に対処することは国家、労働者、使用者が三者で取り組むべき共同の課題を提示するものであり、ここでは社会対話が非常に重要な役割を演じます」と指摘しました。

 有意義な社会対話は労働者と使用者がそれぞれの社会的・経済的な権利と利益を擁護する独立した代表的な団体を設立することを許す保障を基盤とするものですが、ILOはスーダンによる社会対話を推進する法的枠組みの形成を支援しています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は「ILOの基本文書に定められているように、働く人々の基本的な権利と原則に向けた公約」を示すスーダンの主権評議会及び労使に感謝の意を表明して式典を閉じました。また、同日発表した動画メッセージでこれまでに議定書を批准してあらゆる形態の強制労働に終止符を打つ決意を表明した50カ国に対する感謝を示した上で、なおも強制労働状態にある2,500万の人々の暮らしに真の変化をもたらすためにもこの動きに続くことを他の加盟国にも呼びかけました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。