ILO統計局ブログ:経済・社会開発のための国際ボランティア・デー

ボランティア活動に対する関心が新たに高まった2020年3~4月

 平時でも毎年10億人のボランティアが自分の時間とエネルギーを使って他者に無償の支援を提供しています。新型コロナウイルスの世界的な大流行はボランティア活動をさらに一層世界中で増やすことになったでしょうか。

ILO統計局ウラジミル・ガンタ統計官

 世界中で数十億もの人々が不安定と苦難を経験した2020年が近代史で最も困難な年の一つとして記憶に残るであろうことは確実です。完全な回復には数年かかる可能性が高く、全ての国の多大な努力が求められます。

 しかしながら、年明けに人類に降りかかった災厄は、困難な時には人々は団結し、互いを助け合うことができるというよく知られている事実を再び明らかにしました。新型コロナウイルス危機から教訓を何とか学んだという点で、これはより良い未来に向けた期待を与えてくれます。

 団体を通じてあるいは個人的に多くの人が支援を必要としている人々に自主的な手助けを提供しました。実際、危機の規模を考えるならば、この地球上のほとんどの人がボランティア活動に従事したかもしれません。この記事を読んでいるあなた自身もこの困難な時代に少なくとも一回は友人や近所の人を助けた可能性が高いと考えられます。

 残念ながら今年ボランティア活動に従事した人の数についての世界推計は存在しません。この活動を定期的に測定している国はほんの数カ国に過ぎず、統計を取っている国も新型コロナウイルスによる制限によってデータ収集を中断せざるを得ませんでした。最新の世界推計は2018年に国連ボランティア計画(UNV)から出されたものですが、これによれば、無償の支援の提供者は世界全体でおよそ10億人に及び、その総計はフルタイム労働者換算で1億900万人分の年間労働に相当するとみられます。

 最新の世界推計は得られませんが、ボランティア活動に対する関心が2020年3~4月に高まったことを推測させる簡単に手に入るデータが存在します。過去5年のグーグルの検索語インデックスで見ると、新型コロナウイルスの世界的な大流行が最も勢いを増した2020年初めの2カ月間に様々な国の言語で「ボランティア活動」の語が最高値を記録しています。

 ボランティア活動への実際の参加が同じパターンを取ったか否かといった点になると、自らがボランティア活動に従事することを意図して検索したのではないかもしれず、機会を探した人の多くも新型コロナウイルスによる制限や病気のために実際には活動できなかったかもしれず、何よりもグーグルで探さずにボランティア活動に従事した人も多いかもしれないため確言することは難しいものの、実際のボランティア数とは無関係に、この表は一つの重要な結論を導いてくれます。それは文化も異なる世界中様々な箇所で人々が危機に対して同じように反応したという事実です。グーグルの検索語インデックスの値はボランティア活動に対する関心の度合いを示す近似値でしかありませんが、社会がかつてないほどに結束と連帯を必要とした時代にこのような関心が相当に高まったという事実を示しているのです。これは元気づけられる事実であり、公平で持続可能な開発を達成するための政策を設計・実施する際に是非とも考慮に入れていただきたいものです。

図:言語別で見た「ボランティア活動」という言葉についてのグーグル検索による関心度合い指数

グーグル検索による関心度合い指数とは、図表の最高値との関連で特定の地域・時点における検索関心度合いを表すものです。この表は過去5年間の世界の関心を示しています。当該語の人気が頂点に高まった点を100で表しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については3月11日にパンデミック(世界的な大流行)宣言が出されました(薄いブルーの部分)。出典:Google。英語原文記事では、このグラフを英語、仏語、西語、ロシア語、中国語、アラビア語の言語別に数値を含めて見ることができます。

 でも、上の結論が完全に正しくないとしたらどうでしょう。もしかすると、ほとんどの人が非常に困難な時だけでなく常に、他者を助けたいと考えているのかもしれません。ボランティア活動に対する関心が2020年に急増したのは、ニュース報道や町中で支援の必要性が極めて目に付くようになったせいかもしれません。そうだとすれば、統計は社会の結束を推進する重要な役割を演じることができるでしょう。これにはボランティアに対する需要と供給を定期的に推定し、利用できる明確な形で推計値を伝えることが求められます。このような情報の入手を容易にすることは、ボランティア活動への参加を刺激する助けになることでしょう。

 持続可能な開発目標(SDGs)の指標のような、各国、地域、国際レベルで様々な分野の進捗率を測定するために現在用いられている幅広い測定法をボランティア活動のニーズ推定に応用することができるでしょう。しかしながらボランティア活動を定期的に測定する国は少ないため、実際のそして潜在的なボランティア活動の供給量についての指標を示す正確なデータは一般に得られず、その上、用いられている計測方法が異なるため、国際比較を行うことも困難です。この問題に対処するため、ILOとUNVは新たな調査ツールとデータ収集に関する手引きを開発しました。各国はこれを適用して様々な種類のボランティア活動に関する包括的な統計を生成することが奨励されます。

 12月5日の「経済・社会開発のための国際ボランティア・デー」に際し、ハッシュタグ#TogetherWeCanや#IVD2020UNVを用いてUNVのツイッター・アカウント@UNVolunteersをフォローして世界中の多くのボランティアの取り組みを祝福しようではありませんか。

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 以上はILO統計局労働力調査チームのウラジミル・ガンタ統計官による「経済・社会開発のための国際ボランティア・デー」に先立つ2020年12月4日付の英文投稿記事の抄訳です。ILOの労働統計データベースILOSTATには、データそのものに加え、データ生成に携わる人々向けの資料やイベント案内、ニュースレター、解説資料、ブログ記事なども掲載されています。