産業別会合:自動車産業

ILO産業別会議:自動車産業の持続可能なディーセント・ワークを促進する緊急の必要性を指摘して閉幕

記者発表 | 2021/02/24
自動車産業:次はどこへ?(英語・1分40秒)
 デジタル革命は自動車の設計、生産、販売、修理、利用の仕方に変化をもたらしています。
 ILO部門別政策局のカスパー・N・エドモンズ採取産業・エネルギー・製造業ユニット長は、過去に多くの危機にさらされながらも、そのたびにより強くなって抜け出てきた自動車産業にとって、混乱は新しい話ではないとしつつも、しかしながら今回は、自動車産業の労働者と使用者の前途が多難であるように見えると述べています。
 組立部品が少なく、より環境に優しい運転ができる電気自動車は、自動車産業の形勢を一気に変えてしまうようなもう一つの革新的な要素です。
 「気候危機と新型コロナウイルス危機は、デジタルで環境に優しい自動車産業へと向かう歩みを加速させました。また、産業のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、そしてますます不確実な未来を渡っていくためにすべての労働者と使用者が必要な技能とに投資する明確な必要性も露わにしました」とエドモンズ・ユニット長は指摘しています。
 「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」をロードマップに用いて、ILOは「自動車産業の仕事の未来に関する技術会合」を初めてバーチャル形式で開催しました。政府、使用者、労働者は、自動車産業に係わるすべての関係者のためになる未来を形作るため、技能開発、訓練、生涯学習に関するものを中心に、力強い結論と勧告の集合を採択しました。

 政府及び労使団体代表計50人以上が参加して2021年2月15~19日の日程で、ILOの産業別会合としては初めてバーチャル形式で開かれた「自動車産業の仕事の未来技術会合」は、最終日に自動車産業に関わるすべての人々の教育、訓練、生涯学習に投資する緊急の必要性を指摘する結論文書を採択して閉幕しました。新型コロナウイルス(COVID-19)危機が産業に多大な経済的圧力をかけている中で開かれた会議で合意された行程表はこの産業で働くすべての人のためになる未来を確保することを目指しています。

 新型コロナウイルス危機は自動車産業とそこで働く人々に巨大な経済的圧力をかけており、サプライチェーン(供給網)の混乱や工場閉鎖、需要崩壊など、既に存在していた課題をさらに強めることになりました。採択された結論文書はこのような自動車産業の現在及び将来にとってのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)上の課題と機会を記した上で、持続可能なディーセント・ワークへの公正な移行と人々の能力への投資を求め、2019年のILO総会で採択された「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」とそこに示される人間を中心に据えた取り組みが自動車産業の関係者皆のためになり、誰も置き去りにしないことを確保する未来を形作る行程表を提供すると結論づけています。

 そして、ILO及びその加盟国の将来行動のための提案として、社会対話と政労使三者構成原則の重要性を強調した上で、産業が様々な変容を切り抜け、企業及び雇用に対する影響を緩和するのを支援すべきことなどといった行動を提案しています。採択された結論文書は政府、労働者、使用者に持続可能なディーセント・ワークへの公正な移行と人々の能力に投資する強い任務を付託するものとなっています。

 会議の議長を務めたエリカ・ガブリエラ・マルティネス・リエバノ・メキシコ政府駐ジュネーブ国連常駐代表部公使(人権、環境、経済問題担当)は、自動車産業が多大な課題の中で未曾有の変化を経験しつつあることを挙げた上で、この産業は「持続可能な企業の成長を可能にする環境を形成し、労働者の権利を守り促進する公正な移行を通じて、ますます多くの人々のディーセント・ワークの機会と環境に優しいグリーン成長に寄与することができるでしょう」と評しています。使用者側副議長を務めた冶金産業連合のサウセン・アヤリ=プリケン産業部門・産業横断活動局長は、新型コロナウイルスの世界的大流行によって深刻な混乱に陥った自動車産業の企業は生き残りが脅かされており、危機前の生産・販売水準に戻るには何年もかかるだろうとの見通しを示した上で、「事業が可能な環境を立て直し、総需要を刺激し、産業が前に進むために求められる将来的な技能ニーズに対応するよう備える緊急の必要」があると説いています。

自動車産業の仕事の未来技術会合のエリカ・ガブリエラ・マルティネス・リエバノ議長インタビュー(英語・3分8秒)

 労働者側副議長を務めたユナイト労働組合のベン・マシュー・ノーマン調査研究員は、結社の自由と団体交渉の権利について、「自動車産業のますます不確実な未来に直面し、この産業の変容が社会的にも環境的にも正しいものであることを確保するために必要な実効性のある社会対話を可能にするものであり、その重要性はかつてないほど高くなっています」と指摘しています。政府側副議長を務めたテレーズ・ブーツェン・ベルギー政府駐ジュネーブ国連常駐代表部公使参事官は、「この野心的な結論文書は、環境あるいはメガトレンドの受動的な被害者となることを拒み、自動車産業のより多くの人々のためになる、より明るい仕事の未来を共同で形作る用意があるとの政府、使用者、労働者の決意を明確に反映しています」として、その採択は「時宜を得た、さい先の良いもの」として歓迎しています。

 結論文書は検討を求めて今年11月に開かれる第343回理事会に提出されます。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。