ILO/ECLAC定期刊行物最新号

中南米・カリブにおける新型コロナウイルス危機からの労働市場の回復は遅れる見込み

記者発表 | 2020/11/10

 2020年11月10日に発表された、ILOと国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)による年2回発行の共同定期刊行物『Employment situation in Latin America and the Caribbean(中南米・カリブの雇用情勢・英語)』最新号(2020年11月発行第23号)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行の影響を受けて中南米・カリブ地域では2020年第2四半期に4,700万人が仕事を失うといったように、この100年間で最大の景気後退を示し、経済、労働、社会、生産関連の巨額のコストを払うことを余儀なくされており、ウイルス後の労働市場の回復も遅れるとの見通しを示しています。

 「未曾有の危機にある雇用情勢:政策課題」の副題を掲げる本書は、最悪期の2020年第2四半期に職を失った4,700万人近い人々の多くが、労働市場に速やかに復帰する機会を見つけられないか、移動制限によって求職活動が妨げられているために労働市場から撤退してしまっています。

 コロナ禍以前の経済活動水準に戻るには数年かかると見られます。地域の平均経済成長率が3.0%を維持すれば2023年には2019年の水準に戻ると見られますが、過去10年間の平均成長率である1.8%に留まれば、復帰は早くて2025年と予想されます。

 危機の打撃が最も深刻なのは、女性、若者、移民であることが示されています。影響が最も大きいのは在宅勤務ができない職種の人々ですが、これには、◇仕事を失うだけでなく、家族の世話をするために労働市場を去らざるを得ない女性、◇移動禁止の影響を特に受けている非公式(インフォーマル)経済で働く人々、◇商業、製造業、建設業、そして観光業や娯楽産業といったサービス業関連の産業部門、◇物理的な接近を必要とする、よりインフォーマルな仕事に就いている低技能労働者、◇中小・零細企業などが含まれています。労働市場に加わったばかりの若者も大きな影響を受けているため、報告書は1章を設けて若者(15~24歳)に対する新型コロナウイルス危機の影響と課題を分析しています。新人レベルの求人が少なく、臨時契約の更新も新規採用も減っているために若者の雇用には特に影響があり、域内4カ国から得られたデータによれば、25歳以上の年齢層では就業率が7.3ポイント低下したのに対し、若者の場合は7.8ポイント減になっています。

 報告書の記者発表会に出席したビニシウス・ピニェイロILO中南米・カリブ総局長とアリシア・バルセナECLAC事務局長は、雇用の観点から見て、この保健危機はとりわけ脆弱な人々に影響を与え、労働市場における不平等を拡大していること、そして失業と労働力率の低下の点で女性が最も影響を受けていることを指摘し、「持続可能な開発と雇用創出を結びつけた戦略的な考え方」を提唱しました。

 この保健危機は経済や社会に強い影響を与えるショックに対して迅速に反応できる強固で効率的な公的部門の重要性に光を当てることになりました。ILOとECLACは雇用を伴った持続可能な開発を促進するような産業部門毎の政策と共に積極的なマクロ経済政策の必要性を強調しています。これは雇用と成長を刺激する環境政策の拡大、雇用を育み、環境の持続可能性に重点を置いた労働集約的な投資プロジェクトを促進する財政政策の発動、国の生産能力を構築し、競争力を高めるような産業・科学技術政策の導入を伴います。


 以上はリマ発英文記者発表の抄訳です。