IMF/世界銀行年次会合向けILO声明

世界経済の回復には新たな動力源が必要

記者発表 | 2020/10/16

 新型コロナウイルス(COVID-19)危機が世界中の労働市場を揺らし続けている中、ガイ・ライダーILO事務局長は世界銀行グループと国際通貨基金(IMF)の年次会合(2020年10月12~18日)に向けて提出した声明(国際通貨金融委員会向け声明開発委員会向け声明の2点)で、貧困や無職者の増大、不平等の拡大といった危険に対抗する構造変革と持続的な社会支出を呼びかけました。さらに、「疾病休暇や保健医療を受けることができ、給与が支払われ続けている人々も一部にいるものの、所得分布の底辺に位置する多くの人々に新型コロナウイルスは破滅的な結果をもたらしています」として、非公式(インフォーマル)経済で働く20億人の多く、そして臨時労働者や家事労働者、移民労働者といったほとんど保護されていない労働者に対するウイルスの特に過酷な影響に注意を喚起しました。

 また、新型コロナウイルスが露呈させたものとして「根深い不平等」を挙げ、「奥深い構造変革なしには、これは強まる一方」であり、その結果は「予測が非常に難しい」と訴えました。そして、社会的保護を全ての人に保障する制度への大いに必要とされている投資を財政政策が下支えするために「今日、特に妥当なもの」として、国際人権文書や社会保障基準に定められた諸原則に沿った新型コロナウイルス後の政策枠組みの構築を提案しました。

 ほとんどの国が社会的保護制度の動員を図っていますが、一時的な措置を採用した国も多く、長引く危機の中で急落する所得を相殺するにはしばしば不十分です。多くの国が危機に対応してとりわけ所得と企業を支える大規模な包括的財政措置を発動させていますが、危機に対応して発動された世界の財政措置の9割近くが先進国におけるものであるといったように、労働市場の混乱の規模に比して刺激策の世界的な分布にはばらつきがあります。ライダー事務局長は、途上国と新興国におけるこの刺激策のギャップを埋めるには、刺激策の効果改善を図る一方で、さらなる国際連帯が求められるとして、最貧国が債務返済義務の尊重か人民保護かの選択を強制されないよう訴えました。

 ライダー事務局長はまた、自動化や地政学、高齢化、人の移動、気候変動に推進され、既に進行していた地球規模の変革を背景に、新型コロナウイルス危機が世界の経済と生活条件に奥深く長期的な影響を与える可能性について警告を発しました。雇用、世帯所得その他の人間の安全保障の諸側面は、消費者及び投資家の信頼感、総需要、経済成長、開発の最終的な決定要素ですが、事務局長は、「危機関連圧力と構造圧力の組み合わせが今後10年余り、多くの国でこれらの要素に破滅的な課題をもたらす可能性」を指摘しました。さらに、「世界経済は景気回復のための新たなあるいは少なくとも補足的なエンジンを必要としています」として、経済・社会進歩の基本的な構成要素として、全ての人に得られる幅広い雇用機会や技能構築の機会、人間らしく働きがいのある労働条件、持続可能な企業、十分な社会的保護、男女平等の進展、そしてこれら全てがもたらす生産性の伸び、購買力、消費者や投資家の信頼感に対する貢献を挙げました。そして、「世界が危機からのより良い、そしてより迅速な立て直しという明言された野心を達成しようと望むならば、社会対話を土台とし、こういった国の経済力と社会の結束の礎石の強化にもっと直接重点を置いた特別の集団的な取り組み」が求められようと結論づけました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。