ILO COOP 100 周年ウェビナー 第三弾「協同組合の力で気候変動に立ち向かおう」

本ウェビナーは、今年の国際協同組合デーのテーマである、気候変動対策に焦点をあてました。4人の発表者が気候変動の緩和や適応における協同組合の役割について説明し、よりグリーンでより良い未来に向けての努力を拡大していく方法について議論しました。

ニュース記事 | 2020/07/06
本ウェビナーは、ILOの協同組合ユニット設立100周年を記念したウェビナーシリーズの第3弾として、2020年7月3日、国際協同組合デーの前夜に開催されました。
 
2020年の国際協同組合デーのテーマ「協同組合の力で気候変動に立ち向かおう」に沿って、本ウェビナーは気候変動の緩和や適応における協同組合の経験を共有することと、よりグリーンで、強靭で、持続可能な経済を築く潜在能力をいかに最大限活用することができるのかについて話し合いました。

ヴィック・ヴァン・ビューレンILO企業局長が司会進行役を務め、ウェビナーは今回のテーマに関するILOのビデオから始まりました。その後、以下の専門家が発表しました。

•    ソニア・ディアス(インフォーマル雇用における女性:グローバル化と組織化(Women in Informal Employment: Globalizing and Organizing(WEIGO))廃棄物専門家、ブラジル)
•    ダーク・ヴァンシンジャン(REScoop.eu代表、ヨーロッパ)
•    ノエル・D・ラボーイ(CLIMBS生命総合保険組合 会長兼代表取締役、フィリピン)
•    ムスタファ・カマル・ゲイェ(ILOグリーン・ジョブプログラム、マネージャー)

ディアス氏はインフォーマル経済のゴミ拾い労働者の貢献が、都市部の廃棄物リサイクルの鍵となると発表しました。そして、ゴミ拾い労働者の協同組合が、彼らの生活水準や労働条件を向上させ、必要不可欠なサービスへのアクセスを提供してきた方法を例示しました。さらに、ブラジル21州内の150協同組合から収集したデータに基づき、ブラジルのゴミ拾い労働者に対する新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)の影響を調査した、WEIGOの最新研究結果を発表しました。調査で明らかになったのは、組合員を守るために協同組合が迅速に動員され、自治体や州、民間部門、NGOと力を合わせて、保護具や食料、現金補助で組合員を支援した点です。ディアス氏は、ゴミ拾い労働者を必要不可欠な労働者と認識することと、新型コロナウイルスからの復興において彼らを公の廃棄物管理網に組み込むことの重要性を強調しました。ディアス氏の発表はこちらからご覧いただけます。このテーマに関するILOブログもこちらからご覧ください。

ヴァンシンジャン氏は、ヨーロッパでの市民による再生可能エネルギープロジェクトの出現と、100万人を超える市民を代表する約1,500の再生可能エネルギー協同組合の連合会としてのREScoop.euの役割について述べました。そして、法的枠組みとスコットランド政府コミュニティと再生可能エネルギースキーム(Scottish Government's Community and Renewable Energy Scheme (CARES) )のような好事例を活用できるようにすることと、”全てのヨーロッパ市民にクリーンエネルギーを”パッケージの一部であるEU指令の見直しが重要であると強調しました。さらに、協同組合モデルは、市民や地域資源を動員や、地域コミュニティでの持続可能な雇用と収入機会の創出に適している可能性があることも提起しました。ヴァンシンジャン氏の発表はこちらからご覧いただけます。

ラボイ氏は、気候変動リスクに関連する保険を提供するCLIMBSの活動について発表し、初期段階で学んだ課題や教訓、そして、今後の展開について述べました。さらに、ラボイ氏はCLIMBSのその他のイニシアチブにも触れ、地域レベルでの強靭性と持続可能性の構築のため、金融リテラシーとビジネス持続計画における能力強化や総余剰の3%(例:配水、井戸建設、マングローブ植林)を使用したコミュニティ開発プロジェクトを紹介しました。ラボイ氏の発表はこちらからご覧いただけます。

最後に、ゲイェ氏は協同組合モデルを通したグリーンジョブの機会創出におけるILOの主だった実績について発表し、特に、セネガルのゴミ捨て場で働くゴミ拾い労働者で協同組合を組織し、彼らの生活水準や労働条件を向上させた取り組みについて紹介しました。主要な関係者(ステークホルダー)とのワークショップや調査からは、ゴミ拾い労働者は異なる廃棄物網によってグループ化されており、より詳細な廃棄物流通網の分析が支援計画に必要であることが明らかになりました。ゲイェ氏の発表はこちらからご覧いただけます。

質疑応答では、協同組合の中で、経済効率と環境の持続可能性をどのように両立させるのかや、気候変動に立ち向かう中で新しく出現している協同組合の持続可能性と自立性をどう確保するのかなど、幅広い課題が議論されました。

また、ヴィック・ヴァン・ビューレンILO企業局長は、グリーンな回復における協同組合とその他の社会的連帯経済(SSE)企業の潜在的可能性と、その可能性を発揮できるようにする規制環境をつくる必要性を強調しました。