条約批准

フィジーの批准によってILOの暴力及びハラスメント条約(第190号)が来年6月に発効

記者発表 | 2020/06/25
フィジーによるILOの暴力及びハラスメント条約のバーチャル批准書寄託式。批准書を掲げるガイ・ライダーILO事務局長(左)とフィジーのナジハット・シャミーム・カーン大使

 去る6月12日に行われたウルグアイによる批准に続き、フィジーが「2019年の暴力及びハラスメント条約(第190号)」の 2番目の批准国となりました。これによって条約の発効要件が整い、第190号条約は2021年6月25日に発効する運びとなりました。

 バーチャル式典でガイ・ライダーILO事務局長に批准書を寄託した、フィジー政府の在ジュネーブ国連事務局その他国際機関常駐代表を務めるナジハット・シャミーム・カーン大使は、フィジー政府による第190号条約の批准について、「憲法に掲げられている平等原則に対する政府の公約の証明であり、国連人権理事会の理事国としての地位に沿ったもの、そして国際基準と最善の慣行に向けた責任を率先して引き受けようとの決意を示すもの」と説明しています。第190号条約について、大使は次のように評しています。「この条約は暴力やハラスメント、威嚇などの今日の仕事の世界の真の課題に対処するのに非常に適している、時宜を得た文書です。とりわけ、条約の包摂性は特記に値します。女性を含み、仕事に関わるいじめやハラスメントの対象となる全ての人を守り、法的な権限を与えることを意図しています。また、差別の源の横断性を包含することによって、多くの労働者の暮らしの現実を取り込んでいます」。

 批准書を受け取ったガイ・ライダーILO事務局長は、フィジーの議会が2020年5月28日に批准を全会一致で承認したことに特に触れた上で、「仕事の世界におけるあらゆる形態の暴力とハラスメントの撲滅に向けたフィジー政府の公約を証するものである」批准書の受領に際しての大いなる喜びを表明し、次のように述べました。「世界が地球規模の感染症の流行を克服し、そこから立ち直ろうと苦闘しているこの前代未聞の時代においてとりわけ、この批准はディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の達成に向けた重要な一歩を印すものです。この破壊的なウイルスの流行の中で非常に明白となったように、危機や経済が不安定な時代には、暴力とハラスメントのリスクが高まります。暴力とハラスメントはどんな時代であっても許容できず、繁栄の時であろうと、危機の時代であろうと、第190号条約に果たすべき決定的に重要な役割があることは明白です。第190号条約は仕事の世界における暴力とハラスメントから自由で、人間を中心に据えた危機対応・回復のための明確で実際的な道筋を示すものです」。

 2019年のILO総会で採択された第190号条約は、仕事の世界における暴力とハラスメントを取り上げた初の国際労働基準という画期的な文書です。同時に採択された同名の勧告(第206号)と共に、尊厳と敬意を基盤とした仕事の未来を形作るまたとない機会、そして行動のための共通の枠組みを提供しています。

 ジェンダーに基づくものを含み、仕事の世界における暴力とハラスメントについての初の国際的な定義を示すものとして、条約は、暴力とハラスメントを、「身体的、心理的、性的または経済的損害を目的とし、またはこれらの損害をもたらし、もしくはもたらすおそれのある」行動及び慣行またはこれらの脅威と定義し、仕事の世界における暴力とハラスメントは、人権の侵害または乱用に当たるおそれがあることや、機会均等に対する脅威であり、容認できず、ディーセント・ワークと両立しないものであることを認めています。そして、加盟国にはその存在を「一切許容しない一般の環境」の醸成を促進する責任があることに注意を喚起し、誰もが暴力とハラスメントのない仕事の世界に対する権利を有すると断言しています。

 フィジーは第190号条約に加え、「1981年の職業上の安全及び健康に関する条約(第155号)の2002年の議定書」の批准書も寄託し、この議定書の14番目の批准国となりました。2008年にフィジーが批准した第155号条約は、「2006年の職業上の安全及び健康促進枠組条約(第187号)」と共に、予防と継続的な改善を基盤とした労働安全衛生に関する包括的な国内制度の構築・実施のための青写真の役割を果たしています。2002年の議定書は労働安全衛生の歩みを達成する上での信頼のおける統計データの重要な役割を認め、とりわけ、職業上の事故及び疾病に関する記録と届出、全国統計の刊行に関する第155号条約の諸規定を補強しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。