コロナウイルスと仕事の世界

コロナウイルスの大流行に際し、ILOとUNICEFは企業の家族支援策を手助けする新指針を発表

記者発表 | 2020/03/30

 新型肺炎コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行によって、家族は安全な保育設備の確保、自宅における職場責任と家事責任の両立、収入喪失への対処などの課題に直面しています。この大流行はまた、保健医療や保育・介護などのケア職業に従事する労働者の大半を占め、社会的保護を欠く場合が多い女性に不均衡に大きな影響を与えています。この流行以前から既に、世界的に無償のケア労働の4分の3以上を担ってきた女性の負担がさらに大きくなっている高い可能性があります。

 ILOと国連児童基金(UNICEF)が国連女性機関(UN Women)の協力も得てこの度発表した、コロナウイルスの大流行に際して企業の勤労者世帯支援を手助けする暫定指針『Family-friendly policies and other good workplace practices in the context of COVID-19: Key steps employers can take(コロナウイルスの影響下における家族に優しい政策・方針その他の職場の好事例:使用者が講じ得る重要な措置・英語)』は、この突発的事態が企業や勤労者、その家族や子どもに与える負の影響を最小化するには、低所得世帯に対するものを中心に追加的な支援が必要不可欠と説き、企業の決定が勤労者世帯に与える影響を検討し、可能な限り社会的保護の拡充を支援することを使用者に呼びかけています。

 指針はまた、使用者を支え、脆弱な世帯に対するものを中心に社会的保護を強化することを政府に提案しています。雇用や所得の保護、柔軟な就労取り決め、家族の世話をするための有給休暇、質の高い緊急保育サービスの利用機会などの家族に優しい政策や行動が、労働市場、家族、社会の安定を助け、決定的に重要な違いをもたらす可能性があります。

 人間を中心に据えた経済及び開発に対する取り組みの概念を包み込み、需要刺激、企業支援、労働者保護の諸要件の調和を図る国際労働基準は、公平で持続的な回復のために必要な政策対応の強固な基盤を提供しています。

 この企業向け暫定指針が提案している事項には以下のようなものが含まれています。

  • 国や地元の機関の助言を注視し、それに従い、職場人員に伝えること
  • 現在の職場方針が労働者とその家族に十分な保護を提供することを確保するようにその見直しを行うこと
  • 社会対話、国内労働法、国際労働基準をもとにした方針を実行する際には好事例に従うこと。職場の支援措置が差別なく全ての人員に得られ、全ての労働者にその情報が届き、理解しており、不自由を感じていないことの確保
  • 研修や、秘密が守られた安全な届け出の仕組みを支えることによる職場内差別、社会的烙印対策
  • 労働者に職務遂行のためのより大きな自由及び柔軟性を与えるよう 家族に優しい就労取り決めを採用すること。柔軟な就労が不可能な場合には子どものいる労働者を支援する保育などの他の支援形態を検討すること
  • 適切な保育選択肢で子どものいる労働者を支援し、保育職が質の高い職であるよう確保すること
  • 職場における安全と健康や衛生に関する手引きや訓練を含み、労働安全衛生措置を強化すること
  • 適切な医療を利用するよう労働者に奨励し、従業員のストレス対応を支援すること
  • ILOの「1952年の社会保障(最低基準)条約(第102号)」や「2012年の社会的な保護の土台勧告(第202号)」に沿って、保健サービス利用のための労働者向け補助金、失業・就労不能保険、母性保護などといった政府の社会的保護措置を支援すること。これは非公式(インフォーマル)経済で働く人々にも広げるべきこと。

 ILO労働条件・平等局のマヌエラ・トメイ局長は、「社会対話、すなわち、政府、労働者、使用者、それぞれの代表の協議と協力が必要不可欠」と強調した上で、「対応が効果的で持続可能になるには、信頼と幅広い経験を土台としなくてはなりません」と説いています。UNICEF乳幼児期発達部門のピア・レベロ・ブリット・チーフは、仕事の喪失や長引くストレス、メンタルヘルス悪化などのこの世界的大流行病の二次的影響が今後何年も家族に影を落とし続けるであろうことを指摘し、最も脆弱な子どもの場合、適切な社会的保護制度の不在が危機にさらされるリスクを高める可能性を説いています。

 この指針は急速に移り変わる状況下で作成された暫定文書であって、労働者とその家族に対する支援を企業が強化するのを手助けすることを目的とした一般的な提案を示しており、個々の状況や変化する状況に合わせて適応させる必要があります。ここに含まれる内容はすぐに古くなる可能性があるため、巻末に示された出典やオンライン情報を定期的にご覧になることをお勧めします。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。