暴力・ハラスメント条約

アルゼンチン、フィンランド、スペイン、ウルグアイによる暴力・ハラスメント条約(第190号)批准の公約をILOは歓迎

記者発表 | 2020/03/03
ウルグアイ議会

 3月8日の「国際女性の日」に向けてILOでは仕事の世界において女性に影響を与えている事項を取り上げた記者発表や広報記事の発表を予定しています。この第一弾として、昨年のILO総会で採択された暴力・ハラスメント条約(第190号)の批准に向けて示された公約を取り上げます。

 第190号条約の批准国はまだありませんが、既にアルゼンチン、フィンランド、スペイン、ウルグアイの政府から立法府の承認を求める意向が示されています。最も新しい表明はスペインによる公約ですが、去る3月2日にガイ・ライダーILO事務局長との会談の席上でヨランダ・ディアス労働・社会的経済大臣から示されました。

 第190号条約及び同時に採択された同名の勧告(第206号)は、性差に基づくものを含み、暴力と嫌がらせ(ハラスメント)のない仕事の世界に対する全ての人の権利を認める国際労働基準です。条約は暴力とハラスメントを、「身体的、精神的、性的または経済的な害悪を与えることを目的とした、またはそのような結果を招くもしくはその可能性が高い」一連の許容できない態度及び行為と定義しています。条約はインターンや見習い研修生、使用者の権限、義務、責任を行使している人を含み、働く全ての人を対象とし、都市部であろうと農山漁村地域であろうと関係なく、官民両部門、そして公式(フォーマル)経済にも非公式(インフォーマル)経済にも適用されます。勧告は条約適用の手引きを示しています。

 事務局を代表して総会で基準作りに関わったマヌエラ・トメイILO労働条件・平等局長はこの4カ国の政府から示された第190号条約批准に向けた公約を歓迎し、「暴力とハラスメントのない、尊厳と尊重を基盤とした仕事の世界を育む可能性を提供する」この条約の批准を全ての加盟国政府に呼びかけました。

 条約を批准するためには立法府の承認を得た後、ジュネーブのILO本部に批准書を寄託することが必要です。第190号条約は2カ国が批准した12カ月後に発効します。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。

仕事の世界における暴力とハラスメントに終止符を打つにはもっと多くの行動が必要

 ソーシャルメディアを通して第190号条約の批准を自国政府に呼びかけることを提案する広報動画(英語・1分20秒)も制作されています。

 仕事の世界における暴力とハラスメントはなくさなくてはなりません。ILOは2019年6月に正にそのための国際条約を初めて採択しました。この第190号条約は性差に基づくものを含み、暴力とハラスメントについての共通の定義を定め、それを撤廃する方法に関する明確な枠組みを示しています。第190号条約は暴力とハラスメントのない仕事の世界への全ての人の権利を定めています。これに応えて、既にスペイン、アルゼンチン、フィンランド、ウルグアイなどが批准の用意があることを明らかにしています。ガイ・ライダーILO事務局長はこういった公約について「実に元気づけられる」として歓迎しつつも、「言葉を行動に転換することが必要」として、あらゆる形態の暴力とハラスメントから自由な仕事の世界という、私たち皆が望む世界の形成に向けてこの条約の批准を加盟国に呼びかけています。#RatifyC190を用いて皆さんの声を届けませんか。