ディーセント・ワーク国別計画

イラクが国内でディーセント・ワークを前進させることをILOと誓約

記者発表 | 2019/12/05
イラクのディーセント・ワーク国別計画署名式典 © ILO

 数十年に及ぶ紛争から復旧しつつあるイラクの政労使とILOは、同国でディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を普及させることを目指すディーセント・ワーク国別計画を初めて締結しました。2019年12月5日に首都バグダッドで開かれた署名式にはILOを代表してルバ・ジャラダット・アラブ総局長、そしてイラクからラエド・バヘドハ労働・社会省労働・職業訓練総局長、イラク産業連盟のアリ・サベーハ・アルサージ会長、イラク労働組合総連合のサタル・デンブース会長が出席し、署名しました。式典にはバッセム・アルルバイエ労働・社会大臣、ノウリ・アルドゥライミ企画大臣、モハマド・アルハキム外務大臣を始めとした政府機関・省庁トップ、使用者代表、労働組合活動家、各国大使、国連諸機関の代表なども駆けつけました。

 ジャラダット総局長は、イラクの政労使はILOと長く緊密な協力関係にあったものの、「今日の出来事はILOがこの国に再び包括的に関与するようになったことを印すもの」として歓迎しました。そして、労働市場の課題に対処し、就業率を引き上げ、社会的保護を強化し、成長率を後押しし、脆弱な非公式(インフォーマル)労働を減らすことに向けて必要な支援をイラクの政労使に提供できることへの抱負を示した上で、新たな事業計画が、イラクの復興・改革過程の中心にディーセント・ワークが置かれるよう確保するために包括的・整合的・総合的な形でその強化を図ることに向けた政労使三者の固い誓いを確立したものになっている点を強調しました。

 2019~23年を期間とするディーセント・ワーク国別計画はディーセント・ワークを促進し、それを経済・社会政策の主流に据えるイラクの能力強化に向けた国のイニシアチブを支えるものとなり、ILO及び国内労使代表との密接な連携の下で進められます。

 ディーセント・ワーク国別計画とは、国の開発戦略のカギを握る構成要素としてディーセント・ワークを促進するためのILOの中心的な手段です。この計画の下、ILOはイラクの政労使と協同で雇用促進、就労に関わる権利、社会対話、社会的保護に関する国内イニシアチブを支援していくことになります。イラクの政労使とILOの幅広い協議を経て定められた三つの優先事項は、1)民間セクターの育成が新規雇用の創出を支えることの確保、2)社会的保護の拡大・強化、児童労働対策、3)就労に関わる権利の促進に向けた社会対話の改善、となっています。

 1932年にILOに加盟したイラクはこれまでに8基本条約全てを含む68本のILO条約を批准しています。ILOとイラクの政労使は2004年からディーセント・ワークを後押しし、国内各地の労働市場を育む戦後再建努力の一環として密接に協力してきました。最近の業績には、就労に関わる基本的な原則と権利の向上に向けた新労働法の制定、「1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」や「2006年の職業上の安全及び健康促進枠組条約(第187号)」といったILO条約の批准などが含まれています。クルディスタン地域における公共職業安定所整備のための行程表も設計されています。


 以上はILOアラブ総局によるバグダッド発英文記者発表の抄訳です。