若者の就労

ILOが支援するセネガルと南アフリカの事業が未来政策賞を受賞

記者発表 | 2019/10/16
セネガルのグリーン・ジョブ

 ILOが支援するグリーン経済行動パートナーシップ(PAGE)及び雇用集約型投資計画(EIIP)を通じて策定されたイニシアチブが世界未来評議会(WFC)の2019年度未来政策賞を受賞しました。36カ国67件の候補政策の中から選ばれた未来政策ビジョン賞受賞政策2件のうちの1件となったセネガルの「グリーン・ジョブ推進国家戦略」は2,000人分の環境に優しいグリーン・ジョブを創出しています。ILOは政府の戦略策定・実施を支援しました。また、ILOの雇用集約型投資計画が設計、計画立案、実施、評価に貢献した南アフリカの拡大公共事業計画(EPWP)が「若者の経済力付与に向けた持続可能で人間らしく働きがいのある仕事部門」で銅賞を受賞しました。高い失業率に対応して2004年に開始されたこの事業計画は、800万人分以上の雇用機会を創出しました。

 WFCが列国議会同盟(IPU)及び国連諸機関と提携して2010年に開始したこの賞は「優れた政策に与えられるオスカー」とも呼ばれ、若者のエンパワーメントに最も影響力がある政策に授与されます。現在のみならず、将来の世代にも利益をもたらすよう設計された政策を表彰する唯一の世界的な賞として、優れた政策の重要性を世界に知らせると同時に活動のスピードアップを図ることを目指しています。2019年の賞のテーマとして、公正で持続可能な未来の構築に向けて若者に力を付ける可能性がある、インスピレーションの源となる効果的な法及び政策を見出す必要性に光が当てられました。

 セネガル初のグリーン・ジョブ推進国家戦略は基準枠組みとして、環境に優しいグリーン・ジョブのための法律・制度・規制枠組みの強化、人的能力構築、適切な金融政策の策定、広報提言活動の促進、モニタリングと持続可能性のための仕組みの構築を導いています。この戦略に基づいて創出されたリサイクリングや水産養殖、森林事業などにおける2,000人分のグリーン・ジョブの受益者は主として女性と若者です。全てが生産開始2年目で投資収益を生んでいます。セネガルの手法はアフリカ内外の他の国でもモデルとして受け入れられています。

 南アフリカでも拡大公共事業計画の下で生み出された800万人分の臨時雇用の約半分が若者に雇用機会を提供しました。革新的な手法を用いるこの事業計画は、より伝統的な基盤構造関連活動に留まらず、在宅保育・介護や幼児教育、森林火災予防、湿地その他の生態系の回復など、社会的サービスや環境活動の支援にも無職の若者を動員しています。40年あまりの歴史があるEIIPは、現在、世界25カ国以上で活動しています。EIIPは若者に加えて、難民や農民、紛争や自然災害の被災者などといった生計手段が脅かされているその他の集団を対象とした事業計画の支援・実施を行っています。

 ILOグリーン・ジョブ・ユニットのムスタファ・カマル・グイエ・ユニット長は、政府の政策にはエコ移行の過程で数百万人分の人間らしく働きがいのあるグリーン・ジョブの機会を開く潜在力が秘められていることを指摘した上で、「グリーン経済の雇用配当実現の中心にあるのは、行動主体、組織、文化、ポリシーといった企業生態系を変える行動であり、ILOはこの方向で、ILOを構成する加盟国政労使のエンパワーメントをお手伝いしています」と説明しています。

 ILO、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連訓練調査研究所(UNITAR)の5国連機関が参加して2013年に立ち上げられたPAGEは、各国がより環境に優しく、より包摂的な成長路線を採用するのを手助けしています。経済政策・実務の中心に持続可能性が置かれ、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の歩みが達成されるよう、国や地域が持続可能性を軸に経済政策・実務の再構成を図るのを支援し、経済成長が育まれ、収入や仕事が生み出され、貧困と不平等が縮小することを目指しています。

 今年の未来政策賞の授賞式は、セルビアのベオグラードで開かれているIPUの第141回総会の中で2019年10月16日に行われます。現地時間15時~16時15分(日本時間同日22時~23時15分)に行われる授賞式の模様はインターネットでライブ中継されます。写真はIPUのフリッカーアカウントからダウンロードすることができます。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。