開発協力

ILOとファーストリテイリングが雇用と社会保障を促進するプロジェクトで連携

 国際労働機関(ILO)と株式会社ファーストリテイリングは、インドネシアを始めとするアジア諸国で雇用と社会保障を促進するILOのプロジェクトを通じて連携することを目的として、2019年8月28日に180万米ドル(約1億9,000万円)のパートナーシップ協定を締結しました。

記者発表 | 2019/09/04

 国際労働機関(ILO)とユニクロブランド等を展開する株式会社ファーストリテイリングは、社会保障と雇用保険・職業訓練・再就職支援を連動させた積極的労働市場政策を促進する新たな協定について合意に達しました。

 この協定を通じて出資される約1億9,000万円は、社会保障分野でのILOのプロジェクトに対する民間セクターからの出資額としては現時点で最大です。

 このパートナーシップの下、ILOは社会保障の促進・技能形成・雇用支援を行う2年間のプロジェクトを実施します。プロジェクトの目的は次の通りです。

  • 最低限の所得を保障し、失業者とその家族が貧困に陥るのを防ぐこと
  • 再就職支援を通じて、可能な限り早い再就職を促進すること
  • 変化し続ける労働市場に対応し、スキルや能力の向上を図ること

 ILOはまた、バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ミャンマー、ベトナムを対象に、労働者を失業から保護する方策についての比較研究を実施し、アジアの政策担当者や利害関係者に情報を提供します。

 ILOインドネシア・東チモール国別事務所の宮本三知子所長は、「このプロジェクトは、社会保障制度、産業界主導の職業訓練、そして再就職支援を組み合わせ、経済や労働の変革が労働者に与える影響を緩和します」と述べ、失業と労働者の貧困には統合的なアプローチが重要であることを強調しました。

 インドネシアの労働者、特に縫製産業に従事する多くの女性労働者は、同国の発展し続ける経済における労働需要の急速な変化のために失業するリスクが高まっています。「このプロジェクトは新しいスキルを身につけ、またビジネスを始めることで、女性が産業セクター間を移動することを支援します。女性が家族の福祉と子どもの教育に、より多くを費やすことを考えれば、女性失業者への支援はとりわけ重要です」と宮本所長は述べています。

 ILOは、労働省、国家開発計画省、経済担当調整省、社会保障機関(BPJS Ketenagakerjaan)および公的職業訓練センター(Balai Latihan Kerja)など関連する政府組織・機関に加え、労働組合、インドネシア雇用者連盟(APINDO)といった社会的パートナーを含む、すべてのステークホルダーの関与を促していきます。

 インドネシア労働省のハイヤニ・ルモンダン労使関係・社会保障局長は、「労働者の社会的保護の強化はインドネシア政府の優先課題のひとつです。国家三者評議会(LKS tripnas)は先ごろ、社会保障制度改革に関する技術支援をILOに要請したところであり、このプロジェクトは時宜にかなったものです。プロジェクトから得られる専門的知見は、評議会が根拠に基づいた議論と意思決定を行ううえで大きな助けになります」と述べています。

 西本伴子ILOアジア太平洋総局長は、この新たなパートナーシップを歓迎し、次のように述べました。「これまでの100年間で培われてきた仕事の世界に関するILOの経験と知識を基に、人的資源および社会開発、企業の持続可能性、そして経済成長に与える社会保障の影響は、今では広く認識されています。アジアでは、より包摂的な社会保障に向けての前向きな取り組みが見られますが、この協定は、社会保障の適用拡大を加速させ、何百万人もの人々を貧困から抜け出させる一助となることでしょう」。

 本件に関するお問い合わせはILOインドネシア・東チモール国別事務所の下記宛広報官へお願いします。
Ms. Gita Lingga
ILO's Communication Officer
Tel.: +6221 3913112 ext. 115
Email: gita@ilo.org


 以上はジャカルタ発英文記者発表の翻訳です。