パートナーシップ

砂漠化が人間に与える影響に関して協働することを決定-ILOとUNCCD

記者発表 | 2019/09/24
協力覚書を締結したガイ・ライダーILO事務局長とイブラヒム・ティアウUNCCD事務局長

 2019年9月23日に開かれる国連気候行動サミット出席などのためにニューヨークを訪れていたガイ・ライダーILO事務局長は、同日、持続可能な開発の推進を目標に、協力関係の強化に向けた覚書を国連砂漠化対処条約(UNCCD)事務局と締結しました。UNCCD事務局を代表して覚書に署名したイブラヒム・ティアウ事務局長は、「環境面での課題、貧困、人間の移動は相互に接合した現象であり、土地の劣化と欠乏、農山漁村地域における若者の失業、不動産保有の不安定性の諸問題に統一的に取り組むことによって、持続可能な開発目標(SDGs)の提供における肯定的な物語と事例を示すことを目指します」として、「持続可能な土地管理と労働力移動を結びつけた分野に関して行動を起こし、各国を支援するためにILOとUNCCDとが人間らしく働きがいのあるグリーン・ジョブ並びに土地の管理及び統治に関し、もっと緊密に活動し、専門知識を合わせること」の重要性を説きました。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、「ILOとUNCCDは力を合わせることによって、農山漁村地域の若者に質の高い就業への展望とより良い保護を提供し、土地劣化対策を手助けするような持続可能で豊かな農山漁村経済に向けた歩みを加速する取り組みのステップアップが可能」として、パートナーシップの締結を歓迎しました。

 ILOとUNCCDは今後協力して、持続可能性を前進させ、砂漠化の食い止めに寄与し、環境に優しいグリーン・ジョブとディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を支援することを目指します。砂漠化と移住傾向のつながりに取り組むことに特に注意が払われます。協力関係は次の三つの活動分野に重点を置いて展開されます。

  • 砂漠化、就労、移住のつながりに関する知識の構築
  • こういった問題に対する総合的な取り組みに関する啓発及び政治的な支援の動員
  • 効果的な解決策を各国に提供する技術支援

 砂漠化、土地劣化、干ばつなどの環境分野の課題は持続可能な開発に影響を与え、ディーセント・ワークの創出に大きく影響します。この問題が対処されなかった場合、紛争や避難、移住といった状況の悪化を招き、SDGs実現の展望が損なわれる可能性があります。ILOの推計では低所得国の労働者の68%が農業に従事しており、そういった人々にとっては土地や水はしばしば人間の安全保障や富の形成における決定的に重要なライフラインです。

 アフリカでは毎年新たに、少なくとも1,100万人の若者が労働市場に加わります。劣化した土地からの移動を強いられ、アフリカ内外に移住しなくてはならない危険がある人の数は今後10年間で6,000万人に達すると推定されます。ライダー事務局長は、移住者全体の73%が生産年齢にあることを指摘し、「環境分野の課題、人の移動、就労の相互作用を調べ、より総合的で一貫性のある政策手法を支援すること」が重要になると説いています。

 ILOは世界中の政策やプロジェクトを通じて、ディーセント・ワーク、環境の持続可能性、強靱性を前進させ、労働力移動というますます増大する課題に対処するような取り組みを支援しています。


 以上はニューヨーク発英文記者発表の抄訳です。