国連気候行動サミット
国連事務総長が気候行動サミットに向けて新たに仕事に関するイニシアチブを発表、各国に参加を呼びかけ
二酸化炭素排出量が記録的な水準まで増加し、世界の気温が上昇し続ける中、アントニオ・グテーレス国連事務総長の呼びかけによって、ニューヨークの国連本部では、2019年9月23日に、排出量を減らし、気候変動に耐える強靱さを築く行動を刺激することを目指し、気候行動サミットが開かれます。サミットでは気候行動を後押しするために世界中の政府、企業、人々が参加できる具体的なイニシアチブが発表される予定ですが、サミットに先立ち、グテーレス事務総長は気候行動を後押しする各国の取り組みの中心に人間らしく働きがいのある仕事の創出と生計手段の保護が置かれるよう確保することを目指す新たなイニシアチブを発表し、各国に参加を呼びかけました。
気候行動サミットでは九つの行動分野に焦点が当てられますが、スペインとペルーが共同で主導する社会的・政治的推進要素行動分野のILOを始めとするメンバーが共同でまとめたこの「仕事のための気候行動イニシアチブ」は、二酸化炭素の増加を引き起こさない経済への移行の中心に人々の仕事と福祉が置かれるよう確保するための行程表を示しています。
サミットに提出されるこの新しいイニシアチブは、環境に優しいグリーン・ジョブと共にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を創出するような、公正な移行のための国家計画の立案を各国に呼びかけています。イニシアチブに示されている、計画に含むべき具体的な措置には以下のようなものが含まれています。
- 気候行動が雇用、社会、経済に与える影響の評価
- 技能開発・技能向上策の実施
- 労働者及び脆弱な集団の保護に向けた革新的な社会的保護政策の設計
- 途上国に対する科学技術と知識の移転、技術革新、責任ある投資の増加
- 企業、とりわけ中小規模の企業による低炭素生産工程採用を可能にするような事業環境の醸成
- 企業が環境面から見て持続可能な商品・サービス生産に移行するのを支持・奨励する経済政策・奨励措置の考案
- 状況を変貌させるような持続可能な変化についての合意形成に向けた包摂的な社会対話の仕組みの構築
ILOが政労使の合意によって2015年に採択した「環境面から見て持続可能な経済とすべての人のための社会に向かう公正な移行を達成するための指針」は、各国が活用し得る、低炭素経済への移行を導く枠組みを提供しています。
グテーレス事務総長は、「私たちは本日、ILO並びにスペイン及びペルーといったパートナーと共に仕事のための気候行動イニシアチブ、つまり雇用創出と生計手段の保護を各国の気候行動計画の中心に据えるためのイニシアチブを発表します」としてイニシアチブを紹介した上で、「世界の就労者の4割に当たる約12億人の仕事が健康で安定した環境に直接依存している状況下で、なくなっていく惑星上で企業は成功を収めることはできませんし、死にゆく惑星上で仕事を保つことはできません」と訴えて、「気候行動のギアを上げることができるよう、世界中の政府、企業、人々がこの取り組みに加わることが必要」として参加を呼びかけました。
このイニシアチブの実施は、ILOが陣頭指揮を執り、企業リーダーのグループであるBチーム、国際労働組合総連合(ITUC)、国際使用者連盟(IOE)などの社会的・政治的推進要素行動分野の他のパートナーの支援を受けて進められます。
ILOでは、生産とエネルギー使用を環境に優しいものとする措置は、2030年までに正味で約2,400万人分の新規雇用を生み出すとみています。
サミットに参加するガイ・ライダーILO事務局長は、「政府、使用者、労働者といった仕事の世界の行動主体は、持続可能な企業を育み、ディーセント・ワークを全ての人に創出することによって、現在及び将来世代のために環境を保護し、貧困を根絶し、社会正義を促進する新たな働き方を育む上で演じるべき重要な役割があります」として、この新しいイニシアチブを歓迎しました。
本イニシアチブへの参加ご希望あるいは詳細については、国連の担当部署(E-mail: spdcast@un.org)にご連絡ください。