G20大阪サミット

包摂性と平等に向けたG20大阪サミットの公約をILOも歓迎

記者発表 | 2019/06/29
G20大阪サミット参加者

 日本が初の議長国を務めた主要20カ国・地域(G20)のサミットが2019年6月28~29日に大阪で開かれ、活力ある高齢化社会を確保し、男女平等と女性の経済的エンパワーメントを支えることの重要性を強調する大阪首脳宣言を採択して閉幕しました。サミットに参加したガイ・ライダーILO事務局長は、女性や若者、障害者の参加を後押しする包摂的な社会に向けた取り組みを約するG20サミットの公約を歓迎しました。そして、この仕事の世界が急速に変化している時期に、労働市場における包摂性の達成にG20の焦点が当てられたことには「元気づけられる」との感想を述べ、これは「公平で持続可能な経済成長とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を支える政策へと向かう正しい道を定めるもの」と評価しました。また、採択された首脳宣言について、「ほんの数日前にILOの加盟国によって採択された『仕事の未来に向けた創設100周年記念宣言』を補足するもの」に位置づけました。

 6月に開かれたILOの年次総会創立100周年を記念して採択された「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」の中核的な提案事項である「仕事の未来のための人間中心アジェンダ」は、気候変動や人口構造の変化、人の移動、科学技術その他の要素の結果として仕事の世界に生じている変化から人々が利益を得るのを許すような政策の基盤を提供しています。

 大阪首脳宣言はまた、9月1~2日に松山市で開かれるG20労働・雇用大臣会合に向けて、技術革新によって推進されているものを中心とした新たな就労形態がディーセント・ワークと社会的保護に対してもたらしている課題に対応する適切な政策を育むことを求めています。新たな就労形態は一方で、雇用創出の機会も形成しますが、宣言はディーセント・ワークと社会的保護の両方を支えるような政策選択肢を生み出す助けになるよう、好事例の交換を提案しています。さらに、ディーセント・ワークの促進に加え、グローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)におけるものを含み、児童労働、強制労働、人身取引、現代の奴隷制の撤廃に向けた公約が再言されています。

 ILOと経済協力開発機構(OECD)は、2025年までに労働力率における男女間格差を25%縮小するというブリスベン・ゴールの到達に向けた歩みをまとめた報告書を毎年提出するようG20諸国から求められていますが、男女平等と女性の経済的エンパワーメントを「持続可能で包摂的な成長を推進するカギ」に位置づけたG20首脳宣言は、29日に提出された『Women at work in G20 countries(G20諸国における働く女性・英語)』と題するこの年次報告に留意し、これをもとに進捗状況を評価し、取り組みを加速させることを約しました。そして、介護や育児といった無償のケア労働の負担を女性が不均衡に重く担っていることに光を当てると共に、働く女性に対する暴力、虐待、嫌がらせ(ハラスメント)に対する非難を表明しました。職業分離によって引き起こされている男女賃金格差に終止符を打つ政策に関しては、女性や少女が科学や技術、工学、数学(STEM)といった理系教育を受ける機会を広げ、デジタル面の男女格差を解消する措置を講じる必要性が強調されました。また、女性が管理職や意思決定に携わる地位に就くことを促進し、女性のビジネスリーダーや起業を育むことによって、民間セクターが男女賃金格差の解消において果たし得る決定的に重要な役割に光が当てられました。

 この点に関し、ライダー事務局長は、「男女間で不平等に分配されている無償のケア労働に取り組むことは、男女平等と女性のエンパワーメントに向けたG20首脳の固い公約を下支えする」とし、「長い困難な交渉の末に宣言がまとめられたことは、多国間システム内においては多くのテーマに関する合意がまだ可能であることを示すもの」と評価しました。

 宣言はまた、資源利用の効率性向上や、循環経済及び廃棄物産業の発展によって雇用が創出される可能性に光を当てています。ライダー事務局長は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で想定されているように、成長と分配の好循環を作り出し、包摂的で持続可能な世界の発展を育むことに向けたG20諸国の公約を歓迎しました。

 2020年のG20会合の議長国はサウジアラビアが務め、サミットは11月に開催されます。

ディーセント・ワークがなくては社会正義は達成されない

 「格差への対処、包摂的かつ持続可能な世界」と題するサミット2日目の第3セッションで発言したライダー事務局長は、均衡の取れた持続可能な成長の目標に釣り合った世界の労働力の所得向上の収斂が見られないとして、富の集中や貧富の差の拡大、労働分配率が先進国では低下し、途上国では世界平均をはるかに下回ったままである現状、男女間や世代間の不平等問題、大多数の労働者が経験している実質賃金の停滞といった問題を指摘し、この解決策として、まず第一にディーセント・ワークを全ての人に達成することを挙げました。そして、そのためには適切な規制が重要として、不平等対策において非常に大きな役割を演じる普遍的社会的保護制度を支える租税・移転制度と健全な労使関係制度を通じて再分配を達成する制度・機構に投資する必要性を説きました。また、経済・労働市場の現在の構造は男女平等につながらないとして、労働力率と賃金における男女格差の縮小に向けて対象を定めた行動を様々な側面で実施する必要性を説き、平等な地位に向けた女性の戦いにおける重要な手段を提供する画期的な文書として、この点で、今年のILO総会で採択された仕事の世界における暴力と嫌がらせ(ハラスメント)に取り組む条約をG20諸国が率先して批准・実施してくれることへの期待を表明しました。


 以上は大阪発英文記者発表の抄訳です。