第108回ILO総会

第108回ILO総会会期中にアジア太平洋及びアラブ諸国の労働大臣会合を開催:全ての人のディーセント・ワークに向けて未来の機会を活用

第108回ILO総会会期中に開かれたアジア太平洋とアラブ地域の労働大臣会合出席者

 6月10~21日の日程でジュネーブで開催されている第108回ILO総会に際し、会期中の6月19日に会合を開いたアジア太平洋及びアラブ諸国の労働大臣らは地域の仕事の世界に影響を与えている問題を取り上げ、持続可能な開発のためにディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を創出する方法に関して意見交換を行いました。議長を務めた在ジュネーブ中国政府常駐代表部のチャン・ユングウ公使は、「情報技術や技術革新、気候変動、人口構造の変化」が世界中で仕事の未来の形を変えつつあるとして、仕事の世界に影響を与えている変容について言及した上で、「世界で最も力強く活動的な経済成長のエンジン」であるアジア太平洋諸国の国内労働機関が協調努力を通じて仕事の未来がもたらす機会を捉え、全ての人にディーセント・ワークを達成するという目標を阻む眼前の課題に対処することを呼びかけました。

 会議では西本伴子ILOアジア太平洋総局長ルバ・ジャラダトILOアラブ総局長がそれぞれの地域におけるILOの開発協力活動を簡単に紹介した後、出席各国の労働大臣が自国の労働市場及び雇用の現状を説明しました。西本アジア太平洋総局長は、後発開発途上国から中所得国へと、今日アジアで見られる経済移行は非公式(インフォーマル)就業形態が多い製造業や建設業、サービス業といった産業部門の成長を特徴としていることを挙げ、地域の高い就業率と生産性の伸びが緊急に対処する必要のある、懸念されるしつこいディーセント・ワークの不足を覆い隠している現状を指摘し、各国の主体性を育み、長期の組織的な国家能力構築を確保するカギを握るものとして、「国内財源を注入したディーセント・ワーク計画とパートナーシップの強化」を挙げました。

 ジャラダト・アラブ総局長は地域の古くからの地政学的な懸念と活発な武力紛争が大規模な人口移動と社会経済面の課題の増大をもたらし、貧困はさらに増大し、地域の不平等は世界最大となり、この影響はとりわけ若者と女性に大きいことを説明しました。さらに、こういった課題に対処するよう設計されたアラブ地域のILOの開発協力ポートフォーリオは近年成長を続けており、ILOは伝統的な拠出国・機関とのパートナーシップを強化しただけでなく、新たな資金拠出先との協働を開始し、多国間機関や他の国連機関とも新たにグローバルなパートナーシップを構築したことを紹介しました。さらに、アラブ地域では新たに六つのディーセント・ワーク国別計画が開始され、労働力移動の分野で域内諸国に数多くの改善がもたらされたことを示しました。

 参加国が持ち回りで務める任期1年の議長は、今年11月の理事会の際に開かれる次の会合からイランに引き継がれます。


 以上は2019年6月20日付のジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。