第108回ILO総会ハイレベルゲスト

第108回ILO総会3日目:世界のリーダー、労使代表が社会正義について語る

記者発表 | 2019/06/12
第108回ILO総会

 2019年6月10日にジュネーブで開幕した第108回に当たる創立100周年記念ILO総会には、日本を含む187加盟国から参加する6,000人近い政府、使用者、労働者の代表に加え、40人以上の国家元首・政府首脳級のハイレベルゲストが出席します。

 総会3日目には6人のハイレベルゲストが出席し、ILOが使命とする社会正義に対する支持を表明する特別演説を行いました。

 ジャマイカのアンドリュー・マイケル・ホルネス首相は、労働投入を内包する自動化によって仕事の世界における人間の要素が縮小している現状や、「全ての市民が自国の進歩と繁栄の分け前を得るよう確保する道徳的・哲学的義務を政府に課し、過去と未来をつなぐ全てに優先される盟約」について語り、カリブのリーダーらは「未来、そして次世代に対する私たちの義務が今要請しているのは、この機を捉え、カリブの伝統である『人間第一』のダイナミズムに永久に位置する創造的想像を活用すること」である点を常に意識していると語りました。

 ブルキナファソのクリストフ・ジョゼフ・マリー・ダビレ首相は、仕事の未来について考える際には常に、人類の未来について考えなくてはならず、この人類の大半が南半球に住み、その半分がアフリカ大陸で暮らしていることに注意を喚起しました。さらに、社会契約の範囲を広げ、公式(フォーマル)なものであろうと非公式(インフォーマル)なものであろうと、目に見えるものであろうと見えないものであろうと無関係に、あらゆる形態の仕事を規制する法的枠組みを公共政策が組み込むよう確保することが急務であると訴えました。

 セルビアのアナ・ブルナビッチ首相は、「既に開始した未来に対して備えるに当たって投資する必要のある二つの重要な分野」として、「教育と創造性」を挙げ、外注できず、自動化できず、下向きの競争の一部ではない創造性は、「本質的に人間の特徴」であるとして、第4次産業革命によって創造された新たな世界において創造性が決定的に重要な役割を演じる可能性を指摘しました。

 労働者グループを代表して壇上に立った国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ書記長は、全ての労働者の下に尊厳の床を敷くという急を要する課題に取り組む責任は「私たち皆にある」とした上で、「私たちは怒りの時代の縁にいるのではないかと思われます。それは絶望、希望の欠如からもたらされるものであり、社会契約が破られ続ける中で私たちが直面している課題は、社会契約を再確認し、育み、刷新することなのです」と訴えました。

 使用者グループを代表して演説した国際使用者連盟(IOE)のロベルト・スアレス・サントス事務局長は、未来が前よりも多くの機会を提供し、「何百万人もの労働者、個人、企業に、かつてなかったほどの教育、技能育成、企業同士のつながりの機会」が開けることを指摘した上で、「この新しい機会の利益を最大化したとしたら、一層多くの人々が貧困から抜け出すことでしょう」として、未来にブレーキをかけたり、恐れを根拠とした反応を行わないことを説き、「起業家精神を制限したならば、将来の仕事ばかりではなく、創造力や革新性、繁栄」をも害する点に人々の注意を喚起しました。

 パレスチナ自治政府のムハンマド・シュタイエ首相は、1月に発表された画期的な報告書をまとめた仕事の未来世界委員会を賞賛し、「仕事の未来の提案は私たち皆にとって重要です」として、人々の能力と制度機構への投資は、市民に対して奉仕し、そのニーズに応えることの出来るパレスチナ独立国家の構築に向けて努力しているパレスチナの民にとっても重要であると述べました。

 次のハイレベルゲストの演説は来週19~20日に行われます。この演説はライブ動画及び録画動画でご覧になれます。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。