第108回ILO総会ハイレベルゲスト

第108回ILO総会2日目:世界各国から多数のリーダーが出席

記者発表 | 2019/06/11
第108回ILO総会

 2019年6月10日にジュネーブで開幕した第108回に当たる創立100周年記念ILO総会には、日本を含む187加盟国から参加する6,000人近い政府、使用者、労働者の代表に加え、40人以上の国家元首・政府首脳級のハイレベルゲストが出席します。

 総会2日目には14カ国のハイレベルゲストが出席し、ILOの原則である社会正義に対する公約を改めて行い、急速に変化する仕事の世界の課題に取り組むことの重要性に光を当てる特別演説を行いました。

 ジョージアのサロメ・ズラビシヴィリ大統領は、100年前に、科学技術と社会の急速な変化の夜明けに混沌のただ中から誕生したILOは、世界が戦争によって被った破壊と絶望から立ち上がり、人間の尊厳と社会正義を和解と発展の推進力にするよう支援することを意図して作られたことを挙げ、ILOが「それをやってのけた」ことを評価しました。

 キプロスのニコス・アナスタシアディス大統領は、新たなデジタル時代、新しい種類の事業、気候変動といったように、ILOが今日対処しなくてはならない課題は、100年前、50年前、あるいは10年前と比べてさえもずっと多様で複雑であり、ILOの活動と政策の絶えざる進化とグレードアップを要請していることを指摘した上で、仕事の未来世界委員会が提案した「人間中心アジェンダ」に対する支持を表明し、「この原則を集団として信奉して初めて、私たちは成長、社会正義、そして現在及び将来の世代のための繁栄を達成できるであろう」との固く強い信念を明らかにしました。

 エスワティニのムスワティ三世国王は、「この創立100周年を祝うことによって、技術進歩の結果として急速に変化する仕事の世界の現実と課題に気づかされる」として、「進化する仕事の世界が提示する複雑な問題に対する対処方法に関して加盟国を導く明確な提案を含む仕事の世界報告書」をまとめたことについて、仕事の未来世界委員会を賞賛し、とりわけ印象深いこととして、報告書が強調する「人間を中心に据えた開発」を挙げました。

 ILOを最も影響力ある国際構造の一つに挙げたロシアのドミトリー・メドヴェージェフ首相は、「ロシアは、ILOと使命及び目的を共有している」として、「私たちが共に担う課題は、21世紀の労働を、人間がその潜在力を解き放つ手段の一つとすること」という姿勢に対する連帯を表明しました。さらに、ロシアが自らの経験に基づいて知っていることとして、社会の変化、社会の新たな要求、労働者のニーズといった課題は、無視すると常に嘆かわしい展開につながるため、専門意識を持って適時に対応する必要があることを指摘しました。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、総会に向けて次のように語りました。「私たちは社会平和、公正な労働条件、人間の尊厳を維持し尊重することが必要です。ILOが多くを成し遂げたことに対しては心からお祝い申し上げますが、やり残していることはまだ非常に多く、したがって、既に達成されたことを弾みとして、力強く元気に活動を続け、正にこの課題、この仕事に身を投じることを期待し、そうされると信じるものであります」。さらに、6月12日の児童労働反対世界デー、そしてこの災いと闘うILOの役割にも触れ、「世界中で1億5,200万人の子どもが働くことを強いられており、その約半分が5歳未満であるといった状況は、確実に許容できず、私たちはこの問題に共に取り組まなくてはなりません」と訴えました。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ILOの三者構成の方法論について、「これは困難な場合も手間がかかる場合もあり、時には意思決定には長い時間がかかることを受け入れなくてはなりませんが、堅固な結果を得ることを可能にします」として強い支持を示しました。さらに、「諦めることを拒み、責任感を持って行動し、法及び対話を通じて国際的な連帯を一歩一歩築き上げる」ことをILOの精神に挙げ、「私たちにはこの二重の遺産を続ける責任がある」と説きました。

 マダガスカルのアンジ・ラジョリナ大統領は、「人類に恩恵を施す人々」を賞賛した上で、「1919年以来、人間の価値を認め、個人の成長とあらゆる世代の福祉を支持する公正なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の世界の構築に向けて信念を持って全力を尽くして戦ってきた人々」に対するマダガスカルからの賛辞を送りました。

 チュニジアのユーセフ・シェーヘド首相は、「人間の尊厳を尊重し、社会正義を支える構造の存在を確保することによって初めて、持続可能な開発が達成されよう」として、貧困との闘い、社会正義の促進、諸国の経済発展支援に当てられてきたILOの歴史を賞賛しました。さらに、自国の状況について、「チュニジアは社会対話と社会的保護を確保しつつ、経済の隅々までディーセント・ワークの原則を実行するよう努めている」として、進展は示されており、ゆっくりとしかし確実に社会開発と社会正義を確立する正しい道を進んでいることを紹介しました。

 マルタのジョージ・ヴェラ大統領は、ILOについて、「多国間主義に疑問符が付されている現下の国際環境において、国際的な場のみならず、社会正義と平等主義の執行を通じて私たちの市民の福祉を直接改善することによっても、それ自体の成功のみならず、国際連合がなおも担っている決定的に重要な役割を確認させるものとしても、この機関は傑出しています」として、ILOを有効な多国間主義の最良の一例に挙げました。

 ペルーのメルセデス・ロサルバ・アラオス・フェルナンデス副大統領は、仕事の世界で進行中の変容について述べ、「社会契約の再活性化を許すような、より有望な前途を形成するために新たな機会を捉える必要があります」と強調しました。さらに、今日の技能は明日の職業に沿ったものではなくなり、新たな技能もすぐに置き去りにされる可能性を指摘し、「これは労働技能更新の源泉としての仕事の世界を含み、教育制度の革命を要請します」と指摘しました。

 スロベニアのマリヤン・シャレツ首相は、「私たちは共同の努力によって、ほんの少数の者だけが科学技術の進歩の果実を捕らえ、大多数には残り物しかない状況を阻止しなくてはなりません。この大目的を達成する包括的な取り組み、つまり人間中心アジェンダを基礎とした取り組みが必要なのです」と説いて、科学技術の進歩が全ての人に利益をもたらすよう確保する必要性を強調しました。

 ルクセンブルクのグザヴィエ・ベッテル首相は、仕事の世界が直面している課題を取り上げ、「気候変動、人口構造の進化、人の移動、作業組織の変化は全ての社会、全ての組織、全ての労働者、全ての企業」に影響を与えることを指摘し、「社会対話は仕事の未来を築くカギであったし、現在もそうであり、今後もそうなるであろう」と述べたガイ・ライダーILO事務局長の言葉に対する全面的な支持を表明し、そのために、「世界の変化に適応するように、これを強め、改善する必要がある」と説きました。

 サンマリノのニコラ・セルヴァ執政とミケーレ・ムラトリ執政は、共同で代わる代わる演説を行いました。ムラトリ執政は、仕事の未来は「共有する原則の確立を目指し、意見交換と対話を改めて強化することを伴う必要がある」と指摘し、セルヴァ執政はILOについて、「平和と繁栄の探求における世界で最も明るい光の一つ」と表現しました。

 英国のテリーザ・メイ首相は、「現代の奴隷制」という過去の名残に対処する「道徳的義務」が存在することについて出席者の注意を喚起し、これを「私たちのまとう着衣、口にする食べ物、料金を払うサービスといった、私たちの生活の隅々にまで到達する世界規模の疫病」と呼び、「リーダーの名に値するような人なら、男性や女性、子どもが意思に反して拘束され、ほんのわずかな収入も支払われずに働くことを強いられ、定例的にぶたれ、強姦され、拷問されている時に、そっぽを向いていることなど出来やしないでしょう」と説き、「現代の奴隷制が過去のものとなる未来、それこそが私たちが提供でき、提供すべき仕事の未来」であると結びました。

 ハイレベルゲストの演説は12日の午前中まで続いた後、翌週19~20日に再開されます。この演説はライブ動画及び録画動画でご覧になれます。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。