廃棄物管理

ILO会議-電気・電子廃棄物のより良い管理に向けて緊急の行動が必要と結論

記者発表 | 2019/04/17
フォーラムの議長を務めたニキル・セスUNITAR事務局長(英語・5分11秒)

 政府及び労使団体の代表が参加して2019年4月9~11日の日程でジュネーブのILO本部で開かれた「電気・電子廃棄物の管理におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)グローバル対話フォーラム」は、世界中で洪水のように生み出され、世界全体で年間最大5,000万トンにも達する有毒な電気・電子廃棄物をより良く管理し、これをディーセント・ワークの貴重な源泉と化す緊急の行動を呼びかけて閉幕しました。

 会議参加者は、危険有害かつ有毒で、労働者や環境にマイナスの影響を与える電気・電子廃棄物を扱う人々を緊急に保護する必要性や、「ディーセント・ワークを進めるような形で、急速に成長している電気・電子廃棄物の流れを管理するために、廃棄物管理の基盤構造及び組織体系の適切なあらゆるレベルへの投資を増大し、促進するよう」各国政府に呼びかけることなどについて合意に達しました。

 電気・電子廃棄物の原材料価値は世界全体で550億ユーロ(約69兆円)に達すると見積もられるものの、公式にリサイクルされているのはこの2割に過ぎないと見られます。電気・電子廃棄物はこのバリューチェーン(価値連鎖)に沿って、機器の回収・修理・調整・再利用・用途変更・リサイクルに非公式に従事し、市場に革新的なサービスや製品をもたらし、循環型経済への移行を促進している労働者のますます貴重な資源と化してきています。

 フォーラムの議長を務めた国際連合訓練調査研究所(UNITAR)のニキル・セス事務局長は、「『電気・電子廃棄物の津波』とも呼ばれるものに直面し、我々は自己満足に浸っている余裕はない」として、ディーセント・ワークの前進を図り、電気・電子廃棄物を扱う人々の健康を促進し、この惑星を守るような形で電気・電子廃棄物を管理するために必要なシステム、政策、インセンティブ、能力の設計・強化においてILO及び国連の加盟国を支援する緊急の必要があることを指摘しています。ジェームズ・タワーズ労働者側副議長は、電気・電子廃棄物を扱っている労働者が発言力も交渉力もなく、危険で有害な材料を素手で壊しているだけでなく、この処理に関連したリスクの多くに気づいていない点に注意を喚起しています。パトリック・バン・デン・ボッシェ使用者側副議長は、電気・電子廃棄物部門の大きなビジネス機会を指摘して、「持続可能で人間らしく働きがいのある仕事の創出、持続可能な企業を可能にする環境の育成、新たなサービスと製品の提供、循環型経済の後押しを通じた価値の付加」といった取り組みをステップアップさせる必要性を説いています。ナイジェリアから参加したアニーフィオク・エティム・エッサー政府側副議長は、同国を始め、アフリカでは幾つもの国で電気・電子廃棄物が景観を汚していることを指摘しつつも、「我が国の若者には電気・電子廃棄物を管理する技能を学ぶ潜在力と創造力があるため、この状況は若者の就労を拡大する機会を与えてくれている」とも語っています。

 フォーラムの事務局を務めたILO部門別政策局のアレット・ファン・ルール局長は、全ての人のディーセント・ワークを前進させる形で電気・電子廃棄物を管理するという、デジタル時代において重要性が増す一方の事項に関して政労使三者が集い、合意に達した点について「ILOにとっての歴史的な重要事項であるとさえ言えます」と評価しています。

 ILOは各国が電気・電子廃棄物の課題に取り組むのを手助けする支援をより効率的に提供し、パートナーシップを築き、協同活動を増大させることを目的として結成された国連の電気・電子廃棄物連合に参加しています。


 以上はジュネーブ発の次の2点の英文記者発表の抄訳です。