国際労働基準

「一つをみんなのために」ILO創立100周年記念批准促進キャンペーン:加盟国にILO条約批准を呼びかけ

記者発表 | 2019/02/18

 1919年のILO創立以来、ILO総会で加盟国政労使によって採択された条約勧告はそれぞれ189本と205本に及び、強制労働や児童労働の撤廃から船員の権利確保、男女平等促進まで、その分野は多岐にわたっています。この国際労働基準はILOの根幹であるだけでなく、「社会正義を基礎とした世界の永続する平和の確保」というILOに付託された任務の基盤をなし、多くの人々の勤労生活の向上に寄与してきました。

 しかしながら、仕事の世界にはなおも多くの問題が残り、グローバル化と国境を越えた活動の広がりによって新たな課題が生まれる中、国際労働基準の必要性はかつてないほど高まってきています。そこで、創立100周年を記念するものとして、ILOは加盟国に2019年中にILOの条約または条約に付属する議定書を最低1本批准することを呼びかける「一つをみんなのために(One for All)」批准促進キャンペーンを開始しました。既に30カ国以上が今年に入ってからあるいは今年発効する条約または議定書を批准しています。キャンペーンの進展状況は常時更新される特別のウェブページでご覧になれます。

 キャンペーンの開始に当たり、コリンヌ・バルガILO国際労働基準局長は、「国際労働基準の実施は仕事の世界において誰も置き去りにされないことを確保するもの」として、「ILOのグローバル労働基準の批准と完全な適用は、最終的に、100年前同様今日でも、その生計手段が大規模な変化に直面している数百万の働く人々の状況を向上させることになるでしょう」と述べて、できるだけ多くの加盟国が今年真剣に取り組んで批准に至ることへの期待を表明しました。ティム・ド・メイエー基準政策上級顧問は「ILOは100年間にわたり、社会正義、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、公正なグローバル化に命を吹き込む基準を設定し、その適用を監視してきました。このような基準設定の妥当性は今日、かつてないほどに高まっています」と説いて、批准数のステップアップに向けて今年展開される「一つをみんなのために」キャンペーンが最終的に、「まだ職場における公正な処遇、所得保障、団結権を得られないかもしれない人々」を助けることへの希望を述べました。

 ILOでは現在、条約を基本分野、統治分野、技術分野の3種に分類しています。基本分野には児童労働、強制労働、雇用・職業における差別、団結権、団体交渉に関する条約8本と議定書1本が含まれており、日本は1957年の強制労働廃止条約(第105号)1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)1930年の強制労働条約の2014年の議定書を未批准です。

 統治分野には社会対話、労働監督、そして完全雇用、生産的な雇用及び職業の自由な選択に関する政策の強化に向けた条約4本と議定書1本が含まれており、日本は1969年の労働監督(農業)条約(第129号)1947年の労働監督条約の1995年の議定書が未批准です。

 残りは技術条約として、看護職員など特定の種類の労働者、最低賃金、年金、労働安全衛生に関するものなど、様々な条約計177本(廃止・撤回されたものを含む)、議定書4本が含まれています。日本はこのうち、条約40本を批准しています。

 国際労働基準は過去100年間に幅広い問題の改善をもたらしました。例えば、児童労働に関する条約は2000年に2億4,600万人を数えた児童労働者数を2016年に1億5,200万人に減少させるのに寄与しました。労働時間に関する条約は1日や1週間の労働時間に上限を課しました。現在、船腹量の総トン数で世界全体の9割以上の船舶に適用されている海上の労働に関する条約は多くの船員の労働条件を改善しました。

 ILO100周年記念特別ウェブサイト「私たちの物語、あなたの物語(英語)」の「就労に係わるあなたの権利」と題する第2章では、国際労働基準の設定と適用の仕組みを分かりやすく説明しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。