社会的保護

ILO/ユニセフ新刊:社会的保護が及んでいるのは子ども全体のわずか3分の1

記者発表 | 2019/02/06

 ILO、国連児童基金(ユニセフ)、英国の海外開発研究所(ODI)は、2019年2月6~8日にジュネーブのILO本部において「一律子ども給付金国際会議」を共催します。会議に合わせて6日に発表されたILOとユニセフの新刊書は、子どもが貧困とその破壊的な影響から逃れるのを助ける上で社会的保護は決定的に重要であるにもかかわらず、実効的な社会的保護が及んでいるのは世界の子どもの平均35%に過ぎないことを示し、持続可能な開発目標(SDGs)及び全ての子どもへの社会的保護の達成を目指し、児童・家族給付を早急に拡大することを呼びかけています。

 現在、世界の子どもの約半分が中程度の貧困状態(1日1人当たり3.10ドル未満)、5人に1人が極度の貧困状態(1日1人当たり1.90ドル未満)で暮らしていると見られます。ほとんどどこでも貧困の影響は子どもに不均等に大きく、子どもが極度の貧困状態で暮らす確率は大人の2倍に達しています。この貧困と脆弱性の悪循環を打破する上で現金給付が重要な役割を演じることを示す明確な証拠が存在します。にもかかわらず、社会的保護が及んでいるのは約3分の1の子どもに過ぎず、この割合は欧州・中央アジアでは87%、米州では66%に達するのに対し、アジアでは28%、アフリカでは16%に過ぎません。

 『Towards universal social protection for children: Achieving SDG 1.3(全ての子どもの社会的保護に向けて:SDG1.3の達成・英語)』と題する報告書が求める児童・家族給付は、栄養や保健、教育の機会の改善に向けた政策、児童労働や児童の貧困・脆弱性の削減に向けた活動のカギを握る要素です。報告書は全ての子どもに社会的保護を確保することは富裕国の特権などではなく、アルゼンチンやブラジル、チリ、モンゴル、南アフリカなど、多くの途上国が全てのあるいはほぼ全ての子どもを保護の対象に含んでいることを示しています。しかし、子どもに対する社会的保護に関しては、限られた範囲、不十分な給付水準、分裂した制度、弱い制度化といった問題と戦っている国も多く、財政強化を進めている国の中にはSDGsの合意に反し、給付を拡大するどころか切り下げている例さえあります。

 ILO社会的保護局のイサベル・オルティス局長は、「適切な社会的保護があれば、子どもの貧困を一夜にして減少させることができます」と説いた上で、「全ての子どもの暮らしの改善は優先順位と政治的意思の問題」と訴え、最貧困国でも社会的保護の土台を広げる財政的余地が存在することを指摘しています。ユニセフのアレクサンドラ・ユスター計画部門アソシエート・ディレクター兼社会政策セクション・チーフは、貧困の影響は生涯残る可能性があるために子どもに最も大きな打撃を与えることを指摘し、「しばしば貧困によってもたらされる栄養不足や教育期間の喪失は個人だけでなく、地域社会や共同体にとっても悲劇的」と強調し、「諸国は子どもを最優先事項とし、貧困に永遠の終止符を打つために一人一人の子どもに社会的保護を差し伸べる必要があります」と説いています。

 ODIのフランチェスカ・バルタリ社会的保護・社会政策事業計画部長も「政府が貧困と不平等の問題に取り組み、SDGsを達成するために得られる主な手段の一つである社会的保護の政策及び制度は、大きな違いをもたらす可能性があることを私たちは知っています」と前置いた上で、「政府と国際機関がこの分野で生まれている明確な証拠を認めることが重要」と説き、一律子ども給付金国際会議について、「世界中の政府指導者、研究者、実務家を集結させることによって、この重要な政策手段に従事できる理想的な機会を提供する」と説明しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。