旅行・観光業

ILO新刊:コロンビアのサルサの都が観光業で雇用創出

記者発表 | 2018/07/03

 半世紀にわたる武力紛争が終結し、平和への道を歩み始めたコロンビアの第3の都市であるカリ市はサルサの都を自称しています。同市は現在、大いに必要とされている仕事を創出し、経済開発を促進するために観光業の潜在力を高めることを目指しています。人間らしく働きがいのある仕事を創出するカリ市観光業の潜在力を分析したILOの研究報告書『Análisis de la cadena valor del turismo en Calí(カリの観光業バリューチェーンの分析・西語)』は、この試みにおいて重要な役割を演じるのはサルサと結論づけています。

 中心的な課題はカリ市の観光業バリューチェーン(価値連鎖)を強化することですが、これは競争力を高めることを意味します。報告書はカリ市を観光地として育む柱になり得るものとして、サルサダンスやアート、有名なチキンスープのような郷土食、公園、農村景観、スポーツ、アドベンチャー活動などといった自然及び文化的見所を挙げています。報告書は観光客を引きつける象徴としてサルサダンスに投資することを提案すると共に、治安を改善し、積極的な観光振興を図ることがバジェ・デル・カウカ地方の風光明媚な村々や近隣のコーヒー栽培農園を訪れる際の拠点として人気を博しているカリ市にもっと観光客を誘致するに当たって決定的に重要と指摘しています。

 カリ市が県都となっているバジェ・デル・カウカ県のフアン・フェリッペ・フランコ観光長官は、「ILOの報告書には、この町で観光業を振興する方法に関しての非常に明確な結論が含まれている」と評価しています。長官はこの町を国際的な観光地図に載せるには行わなくてはならないことがまだ多いとの報告書の指摘に同意しつつも、コロンビアの和平プロセスの進行によってカリを訪れる観光客数は近年10~12%増を示しており、外国からも毎年約20万人が訪れていることを挙げ、今後2年間でこの数を倍増させる希望を示しました。

  報告書の元となった調査研究の調整役を務めたILOアンデス諸国ディーセント・ワーク技術支援チーム(DWT)兼国別事務所のジョン・ブリーク企業・協同組合・農村開発専門官は、観光業にはカリのみならず県内各地でより多くのより良い仕事を創出する大きな潜在力が秘められていることを指摘した上で、とりわけ農山漁村地域の若者のための雇用創出が数十年に及ぶ紛争によって残された傷跡を癒す重要な一歩になると見られることを挙げています。そして、観光業は世界各地で成長産業として若者や女性など社会の最も脆弱な層に仕事を創出している力強い産業部門であり、農山漁村地域の重要な副次的活動として農業活動と並んで域内世帯に所得を提供する代替的活動であることを説明しています。

 有能な人材を擁する旅行会社は事業革新を図り、提供できるものを改善するより良い立場にあり、これは翻ってより多くの観光客を誘致する助けになるため、報告書はこの産業部門で働く人々が十分な訓練を受けるよう確保することの重要性に光を当てています。また、地域の豊かな自然や文化に関する知識を共有できる観光ガイドの不足を指摘しています。さらに、カリを観光地として促進する上で様々な関係者が共同事業のように活動の調整を図ることの重要性、そして地元社会を包摂することの重要性にも光を当てています。

 民間旅行業者のマウリシオ・ノボア氏は、カリはその資産を誇示すべきとして、「例えば、サルサはここの人々が呼吸している経済と文化の活力を構成する一部である生活様式とリズムを表現するものであり、それを用いて他の場所との差別化を図らなくてはならない」と説いています。


 以上はカリ発英文記者発表の抄訳です。