第333回ILO理事会

第333回ILO理事会:ペルーのデ・ラ・プエンテ・リベイロ大使を議長に選出

記者発表 | 2018/06/09
ILO理事会議場

 第107回ILO総会直後の6月9日にジュネーブで開かれた第333回ILO理事会は、2018~19年の議長として、ペルー政府の在ジュネーブ国際機関常駐代表を務めるクラウディオ・フリオ・デ・ラ・プエンテ・リベイロ大使を選出しました。2017年10月の大使着任に伴い前任者から理事会の政府側副議長の任を引き継いだデ・ラ・プエンテ・リベイロ大使は、ペルーのキャリア外交官として、英国(2015~17年)やオーストラリア(2005~10年)に大使として赴任するなど、外交上の重要な地位を歴任してきました。

 労働者側副議長には、欧州労連(ETUC)の書記も務めたオランダ労働組合連盟(FNV)のカテレーネ・パスキエ会長特別顧問が選出され、使用者側副議長には、南アフリカのウェスタンケープ大学評議員会議長や労働省傘下の公企業である生産性SAの会長などを務め、TZoro IBC社の創設者でもあるムトゥンジ・ムドゥワバ同社最高経営責任者(CEO)が再選されました。

 理事会は結社の自由委員会の報告書など、様々な案件を扱いました。結社の自由委員会に関しては、2018年3月のものを含む委員会の報告書を承認し、新委員長として、ザンビアのエバンス・ラバン・カルラ教授を、現在の理事の任期に合わせて2020年6月までの任期で任命しました。

 5月24~25日に開かれた今理事会の結社の自由委員会は、日本のものを含む23件の案件を検討しました。公務員の労働基本権を求めて日本労働組合総連合会(連合)と全国労働組合総連合(全労連)が申し立てている日本の案件(第2177号及び第2183号案件)に関しては、公務員制度改革の現状、地方公務員の状況、消防職員の団結権、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)の賃下げ違憲訴訟などの裁判についての政府と労働組合双方からの情報提供を受けて11回目の中間報告が出されました。委員会は、「1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」及び「1949年の団結権及び団体交渉権条約(第98号)」という批准条約に沿って、結社の自由の原則の完全な尊重が確保されていない現状に深い遺憾の意を示し、公務員の労働基本権確保に向けて関係する社会的パートナーとの有意義な協議に遅滞なく従事することを求める従来の要求を繰り返した上で、必要な改正法案が遅滞なく成立することへの期待を表明し、これに関する進展状況や人事院勧告制度の機能、賃下げ訴訟の結果に関する情報を引き続き提供するよう求めています。

 社会保険庁解体に伴う職員解雇が反組合的差別行為を構成するとして全労連などが行った申立て(第3051号案件)は、2015年秋の第325回理事会で審議終了となり、解雇取り消し等に関する裁判の情報提供を求めるフォローアップ案件になっていましたが、職員側敗訴で裁判結果が確定したため、本件の手続きは終了になりました。

 理事会は他に、グアテマラによる第87号条約不遵守についての苦情申立てに関し、手続きを終了するか否かの決定を今年秋の次期理事会に先送りすることにしました。ベネズエラによる「1928年の最低賃金決定制度条約(第26号)」、第87号条約、「1976年の三者の間の協議(国際労働基準)条約(第144号)」不遵守についての苦情申立てに関しては、ドミニカ共和国、スペイン、ウルグアイの委員から成る審査委員会の構成を決定しました。


 以上は日本関連事項を盛り込んだジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。