グローバル・ディール新刊書

ディーセント・ワークと包摂的成長グローバル・ディールから旗艦的報告書を発表:ディーセント・ワークに至るカギは社会対話

記者発表 | 2018/05/18

 国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に含まれる「持続可能な開発目標(SDG)17」は「パートナーシップで目標を達成しよう」と呼びかけています。これに呼応するものとして、スウェーデンのステファン・ロヴェーン首相が主導し、ILOと経済協力開発機構(OECD)の協力の下、2016年に誕生した「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と包摂的な成長のためのグローバル・ディール」は、グローバル労働市場の課題に共に取り組み、全ての人がグローバル化の利益を享受できるようにすることを目指し、社会対話の強化に向けた公約を参加団体に奨励している世界規模の連携行動です。

 このたび発表されたグローバル・ディール初の旗艦的報告書『Building trust in a changing world of work(変化する仕事の世界における信頼の構築・英語)』は、人間らしく働きがいのある仕事の創出と企業成績の改善において社会対話が重要な役割を演じることに光を当てつつ、結社の自由と団体交渉の権利が認められ、実現するよう確保するには新たな努力が必要と記しています。約90の政府、企業、使用者団体、労働組合、市民団体が参加するグローバル・ディールの調整の下、ILOとOECDが共同で執筆し、今後隔年で発表される予定のこの定期刊行物について、ガイ・ライダーILO事務局長は、「社会対話の増強は、より包摂的な労働市場と経済成長、社会・経済のより良い成果、労働者にとってのより大きな福祉、企業の業績改善、政府に対する信頼感回復の機会を形成し得ることを示すもの」と評しています。アンヘル・グリアOECD事務総長も、「より多くのより良い仕事の創出は包摂的な経済成長達成のカギ」と位置づけた上で、「仕事の不安定性の増大、賃金の伸び悩み、デジタル革命の新たな課題を特徴とする時代においては、建設的な労働関係がかつてないほど重要」と説いています。

 報告書はまた、依然として世界の労働力人口の約半分が、結社の自由と団体交渉に関する権利を保護する重要な国際労働文書であるところの結社の自由及び団結権保護条約(第87号)団結権及び団体交渉権条約(第98号)の適用外にある事実に注意を喚起し、この2本の基本条約の批准を促進し、それが掲げる権利が法律上及び実際に実現するよう確保する取り組みに改めて注力することを呼びかけています。

 さらに、社会対話と力強く独立した代表的な労使団体の十分な発達を可能にするために必要な政策環境の形成において政府は重要な役割を演じること、職場内協力や団体交渉、政労使三者による社会対話を通じて仕事の未来を形作る上で労使の社会的パートナーは決定的に重要な役割を果たしていることに光を当てています。社会的パートナーはどんな科学技術をどのように採用するかを共同で決定し、仕事がなくなった労働者の移行管理、技能ニーズの特定支援、教育訓練プログラムの開発に寄与することができます。

 報告書はさらに、労働者保護における包摂性を強め、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のディーセント・ワークと包摂的な成長に関する目標8を進める上で、社会対話は決定的に重要な役割を演じていることを強調して、次のようなポイントを挙げています。

  • 政労使の社会対話と労使の連帯行動は非公式(インフォーマル)経済から公式(フォーマル)経済への移行を円滑化できる可能性があること
  • 雇用保障の改善、雇用関係の明確化、臨時雇用から常時雇用への移行において団体交渉は一定の役割を演じ得ること
  • 包摂的で実効性のある賃金政策は、最低賃金や労働時間制限のような保護的基準と団体交渉のような参加型基準を結びつけるものであること
  • 労働協約の拡大は移民労働者や非標準的な雇用形態の労働者、その他交渉による労働者保護の適用範囲内にある中小企業のようなその他の脆弱な種類の労働者を取り込む一つの方法であり、企業にとっては公正な競争の地歩を形成すること

 ムサ・ウマルILO副事務局長は報告書の発表会において、2019年の100周年に向けて歩を進めるILOでは、社会対話を国際的な政策課題の中核に据えるに当たり、グローバル・ディールのようなイニシアチブが助けになると考えていることを説明しています。

 4章構成の本書は、序章で本書の目的やグローバル・ディールについての説明を記した後、第1章「社会対話と労使関係」で社会対話の基礎を提供する基本的な権利の実効的な認識の確保を巡る最近の趨勢と残された課題に光を当て、第2章「包摂的な成長のための団体交渉」で社会対話の中心的な柱である団体交渉が社会と経済のより良い成果を支え、社会の隅々まで機会を与えることによって包摂的な成長を達成する方法を探求し、第3章「グローバル・ディールの公約の紹介」でグローバル・ディールのパートナーシップが健全な労使関係と社会対話の強化にいかに寄与し、包摂的で持続可能な成長という総合目標をいかに支えているかの紹介を試み、第4章「前途を見据える-良い慣行の促進と信頼感の再構築」で判明した主な事項をまとめ、社会対話の役割とそれがディーセント・ワーク、良質の仕事、包摂的な成長に対して与え得る貢献に関し、グローバル・ディールの今後の活動分野と将来展望を論じています。付録として、グローバル・ディール参加団体の一覧、届け出られた公約の一覧などが掲載されています。


 以上はパリ発英文記者発表の抄訳です。