グローバル法律情報オンライン・アクセス(GOALI)

ILOが途上国に法律調査研究・研修へのオンラインアクセスを開放

記者発表 | 2018/03/06

 ILOはこの度、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、世界知的所有権機関(WIPO)、コーネルとイェールの両大学、国際科学技術医学出版社協会、そして185社以上の国際的な出版社で構成される官民連携事業であるResearch4Lifeに参加し、中・低所得国の調査研究を促進し、法の統治を強化する助けになるよう、法律に関する情報と研修を無償または低料金で利用できる機会を提供するプログラムを開始しました。Research4Lifeは、手頃な料金で学術・専門・調査研究情報を得られる機会を提供することによって高所得国と低・中所得国間の知識格差を縮小することを目指しています。既に、農業、保健、環境、科学、イノベーションの分野におけるプログラムが存在します。

 ILOが学術パートナーらと協力して運営する「グローバル法律情報オンライン・アクセス(GOALI)」プログラムは、115以上の途上国の政府、大学、法科大学院、調査研究機関、非営利団体、全国的労使団体事務局などに、国際法、人権、人道法、労働法といった分野の学問や業務に必須の幅広い法律情報を得る機会を提供します。このプログラムはまた、国連の持続可能な開発目標の16番目の目標である「平和、正義、強い制度機構」にも寄与することが期待されます。

 出版社、国連機関、学者の参加を得て開発されたGOALIは、2018年3月6日にジュネーブのILO本部で開かれた式典で運営が開始されました。デボラ・グリーンフィールドILO副事務局長は、GOALIの目的は、「低・中所得国の法律に関する調査研究、教育、訓練の質を高めることによって法の枠組みと制度機構を強化し、法の統治を促進すること」と説明した上で、このイニシアチブがこれまでこの貴重な情報を利用する機会に恵まれなかった人々にこれを得る道を開くことによってILOに付託された任務の中心にある社会正義と包摂的な社会を促進する助けになることへの期待を述べました。

 GOALIのパートナーであるオランダの学術出版社ブリル・ニーホフ社を代表して式典に参加したブリル・アジア社のリースベト・カニス代表取締役はGOALIについて「明らかに途上国における法律情報アクセスの領域におけるギャップを埋めるもの」と評しています。ブリル・ニーホフ社は国際開発政策シリーズや非営利刊行物の「中断された研究ジャーナル」など、法の分野を中心に160点近い定期刊行物と電子書籍を提供しています。学術パートナーであるイェール・ロースクールのリリアン・ゴールドマン法律図書館は、毎日数百点の法律専門誌と電子書籍を、GOALI利用者が内容を楽に発見できるよう確保するための関連するメタデータと共に追加しています。同図書館のテレサ・ミゲル=スターンズ法律司書は、現在所蔵する法律分野の図書は1万点以上に及び、その60以上の出版社の多くが既に何年も前からResearch4Lifeの他のプログラムに貢献してきたことを説明しました。もう一つの学術パートナーであるコーネル・ロースクール図書館の司書でもあるフェミ・カドマス実務教授兼副学部長は、同図書館の貢献内容を、「バーチャルにそして実際にプログラムに参加する人々に指導的な支援を提供することによる調査研究、教授、学習の分野における専門知識」であると説明しています。

 Research4Lifeの他のプログラムに既に登録している機関は自動的にGOALIを利用することができます。

エルサルバドル最高裁判所のランダベルデ・ジェンダー班調整官

 実際にGOALIを利用した人々の声も届いています。エルサルバドル最高裁判所のアナ・メルセデス・レエス・ランダベルデ・ジェンダー班調整官は、現在、大学で人権と平和教育の修士論文を執筆中ですが、職場では特に女性の人権に焦点を当て、司法における性差に基づく手法の制度化に取り組んでいます。「インターネットで研究に理想的な文章を見つけても購入が必要であったり、信頼できない情報があったり」と情報探索の難しさを指摘するランダベルデ調整官は、GOALIのサイトをのぞいて、「自分の論文だけでなく、職場で行っている分析や研究などにも助けになるたくさんのジェンダー情報に気づきました」として、「学生だけでなく、労働者の権利やジェンダー問題に取り組んでいる弁護士にとってもとても有効なサイト」と考え、既に同僚や法律図書館にこのサイトについて話したことを報告しています。

ジンバブエの弁護士ペンドゥカ氏

 ジンバブエの弁護士でジュネーブに拠点を置く非政府組織(NGO)の国際法律家委員会の法律顧問を務めるブライアン・ペンドゥカ氏は、ジンバブエの法の統治の強化に向けた活動の一環として裁判官が関連する法律文献を得る支援を提供しています。また、法律・学術論文の執筆促進に努めています。「裁判官らは、実務に携わる人々ができるだけ多くの情報が得られるよう確保することに努め、この国の法理を育もうとしています」と報告するペンドゥカ氏は、「訴答書面の質がなおも非常に低く、法理は情報へのアクセス不足を反映している」ことを指摘し、人権のさらなる保護と法の統治の尊重におけるアクセスの重要性を強調し、情報源へのアクセスが学生や弁護士が生み出す調査研究の質の向上をもたらし、訴答書面、そして法理の改善につながる可能性に言及して、この点でのGOALIの有用性に期待を表明しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。