児童労働・強制労働

ウズベキスタンの綿花畑における児童労働と強制労働に関する重要な進展を記すILO報告書を発表

記者発表 | 2018/02/13
綿花収穫作業写真
© Carsten ten Brink

 260万人が綿花収穫に従事するウズベキスタンで、ILOは第三者モニタリング・プロジェクトの下、2013年からこの作業における児童労働の監視を行ってきました。2015年からは世界銀行との協定によって強制労働も監視対象に加えられています。協定に基づいて世界銀行に提出される報告書としてこの度ILOから発表された『Third-party monitoring of measures against child labour and forced labour during the 2017 cotton harvest in Uzbekistan(ウズベキスタンの2017年綿花収穫期における児童労働・強制労働対策第三者モニタリング・英語)』は、児童労働の体系的な利用がなくなり、強制労働の利用をなくす具体的な措置が講じられていることを報告しています。

 収穫作業に従事する人々や地方自治体、教育・保健医療職員など、収穫に直接あるいは間接的に関与する人々で構成される代表標本3,000人以上をモニタリング担当者が予告なく訪れて単独で行った国内全州にわたる聞き取り調査と無作為抽出による1,000人の電話調査を元にまとめられた報告書は、2017年の収穫作業にはほとんどの人が自主的に従事しており、児童労働と強制労働が許容できないものであることについての認識度合いが高いことを確認させるものとなりました。綿花収穫における体系的な児童労働の利用は見られなくなったという既に得られていた情報は確認されましたが、子どもの就学を確保するために引き続き監視が必要とされています。

 収穫に先立ち、収穫作業員の募集・斡旋に直接関与する約6,300人の斡旋人を対象としたILOの専門家による研修が実施されました。国の機関からは作業員による任意の作業従事を確保することの指示が地方自治体に対して出され、2017年9月には学生・生徒や教育・保健医療職員といった、強制労働従事の危険性が高い特定の集団を早期に作業から引き離す命令が出されました。加えて、ILOと世界銀行の勧告に沿って作業員の賃金が引き上げられました。ILOは今後も作業員が自発的に集まるよう、政府が賃上げを続け、より幅広く労働条件の問題に取り組むことを提案しています。

 ウズベキスタンのシャフカット・ミルジヨーエフ大統領は2017年9月にニューヨークの国連総会で行った演説で強制労働に終止符を打つことを約し、ILOとの協働を強調しました。2017年11月にアルゼンチンで開かれた第4回児童労働の持続的な撤廃世界会議でも同国はこの問題について独立市民団体と共に取り組むことを約束しました。

 ILO就労基本原則・権利部のベアテ・アンドレエス部長は、個々の活動家の批判的な声を含むあらゆる市民集団を包含する高い透明性と対話の中で実施された2017年の綿花収穫を「将来に向けて元気づけられる兆候」と評価しつつも、中央政府が発している新たな命令や改革の量と州・地区レベルにおけるこの変化を吸収し実施する能力との間に見られる乖離を指摘しています。

 欧州連合(EU)、米国、スイスを中心とする複数拠出国・機関からの信託基金で運営されているILOの第三者モニタリング・プロジェクトは今後、州や地区によるばらつきが見られる取り組み能力のさらなる構築と啓発の必要性を中心とした、残された課題への取り組みに重点を置いて活動を展開していきます。これにより、募集・斡旋活動に従事する全ての人が国際労働基準に沿った綿花収穫作業を確保するために必要な情報と手段を確実に備えることが期待されます。カラカルパクスタン南部におけるモニタリングとパイロット事業より得られた成果からはまた、綿花収穫が多くの女性に、自らが管理し、家族の状況改善に使用できる特別現金収入を得るまたとない機会を提供することによって農村部の女性の経済的エンパワーメントに寄与していることも示されています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。