強制労働

ブラジルで過去15年間に2回以上奴隷労働から救出された労働者は数百人規模

記者発表 | 2018/02/06

 ブラジルの奴隷労働討伐全国週間(今年は1月28日~2月3日)に際して、ILOと連邦労働検察庁の共同事業である「ブラジルの奴隷労働デジタル観測所」から発表されたデータによれば、過去15年(2003~17年)の間に同国で奴隷状態から救出された労働者は3万5,341人に上るものの、この1.73%に当たる613人が2回以上救出されていたことが判明しました。救出が3度目になる人も22人、4度目となる人も4人含まれています。

 教育を中心とした公的サービスを受けることが困難な労働者は、搾取に弱く、奴隷状態に陥りやすい事実が示されており、非識字者が奴隷状態に戻る可能性は初等教育修了者の2倍に達するといったように、教育水準が低い労働者は奴隷状態に戻る可能性が高いことが明らかになっています。これは奴隷状態から解放されても社会的な脆弱性にあまり変化がないことを示すものであるため、救出された人々に対する社会的経済的支援措置の強化が求められます。

 この問題は最近国内で脚光を浴びています。ブラジルの刑法では、奴隷状態の特徴として、品位をおとしめる労働条件、疲弊するほどの労働時間、強制労働、債務奴隷の4点が挙げられていますが、2017年10月に労働省は、最初の二つの要素は職場出入りの自由が奪われている場合に限って考慮に入れられるとする省令を制定しました。これは法の弱体化を図ったものと見られてILOや国連など様々な方面から批判を浴び、連邦最高裁判所で命令が差し止められる事態を引き起こしたため、労働省は12月に新たな省令を出して刑法規定を復活させました。新省令は、奴隷労働とは基本的人権と労働者の尊厳に対する攻撃であることを明確化し、外国人労働者や家事労働者、性的搾取の被害者などといった最も脆弱な集団に特に重点を置いて、被害者が公的サービスを受けられるべきことを定めています。

 全国週間ではこのような奴隷制撤廃に向けた前進と監督業務弱体化に対する抵抗に光が当てられました。2004年に奴隷労働摘発・捜査活動中に殺害された3人の労働監督官と運転手を悼んで設けられたこの全国週間は、奴隷制について社会を啓発する機会になっています。


 以上はブラジリア発英文及びポルトガル語記者発表の抄訳です。