若者の起業家精神

世界最大の実践的ビジネスセミナーとしてギネス世界記録に認定:日本の任意資金拠出ILO事業が支援して開かれたカンボジアのセミナー

記者発表 | 2017/10/12
カンボジアで開かれた世界最大の実践的ビジネスセミナーの模様(カンボジア語・英語字幕付)

 日本政府の任意資金拠出によってILOに設けられたアジア太平洋社会セーフティーネット(安全網)基盤整備基金の協力の下、カンボジア教育・青少年・スポーツ省が2017年8月24日に首都プノンペンで開催したセミナーが世界最大の実践的ビジネスセミナーとしてギネス世界記録に認定されました。ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に至る一つの道として若者の起業意識の向上と能力開発を目指して開かれたこのセミナーには、2016年にインドネシアで達成された1,231人の記録をはるかに上回る2,304人の参加者がありました。国内全土から集まった15~24歳の若者は、ILOの開発した革新的な学習手法を用いた研修活動に参加し、起業成功者の経験談に耳を傾けました。

セミナーはILOのCommunity-Based Enterprise Development(C-BED)プロジェクトが開発した革新的な学習法を用いて開かれました

 若手企業家/活動家として有名なDJナナの司会で始まったセミナーは、世界中で多くの国の教育課程に取り入れられている「Know About Business(KAB)」や、多くの人に届け得る低コストで実施可能な能力開発手法である「Community-Based Enterprise Development(C-BED)」などといった、ILOが開発した革新的な学習方法を用いて進められました。参加者は主体的な活動と議論を通じて、自らの起業選択肢と潜在力の分析を行いました。参加者の1人であるプン・チャンケマさんは、「誰もが互いの事業アイデアについての考えを共有したこと」を「とても有用」と評価し、このセミナー、とりわけ参加したグループから多くのことを学んだとの感想を述べています。

 セミナーはまた、若い企業家の卵に、成功したカンボジア人実業家から直接学ぶ機会を提供しました。セミナーに参加したリム・キムサンさんは、「成功した若手起業家の方々と直接会う機会がありましたが、成功を収める事業をどう始めればいいか、良いアドバイスを頂きました」と語っています。

セミナーはまた、若い企業家の卵に、成功したカンボジア人実業家から直接学ぶ機会を提供しました

 セミナーに続いて開かれたハイレベル・パネルディスカッションには、不動産管理業のエメラルド・プラス社を創業したチェア・ソファラ最高経営責任者(CEO)や教育・青少年・スポーツ省のチェク・リム青少年局次長、移動体通信事業に従事するスマート・アクシアタ社のユー・ソクンパンハ戦略・事業開発部長、カンボジア青年企業家協会のコウチ・ペン次期会長、ILO企業局のビック・バン・ブューレン局長など官民両部門の代表が参加し、カンボジアにおける起業機会と持続可能な事業の促進について意見を交換しました。バン・ブューレン局長は、この研修について、「長く続く旅」と表現し、1回限りのイベントではなく、「学校に通っているか否かにかかわらず、起業家精神への道が誰にでも開かれ、起業家として成功するための支援を得られるようなイニシアチブの一環」と紹介しています。

 ILOは教育・青少年・スポーツ省と協力して、カンボジアの国家開発戦略に沿って若者の起業能力開発を促進するため、学校教育内外での青年に対する起業研修を全国展開してきました。アジア太平洋社会セーフティーネット基盤整備基金の千葉秀樹プログラム・オペレーション担当官は、「基金としては、今回の世界記録認定を、カンボジアにおける若者の起業家精神奨励に対する投資への努力が認められたものとして歓迎している」として、今後も、若者を対象とした協同組合やその他の団体を中心に、引き続き支援していく意向を明らかにしています。

8月24日のイベント参加を募る広報動画(カンボジア語・英語字幕付)

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 以上はILO東・東南アジア太平洋ディーセント・ワーク技術支援チーム(DWT)兼タイ・カンボジア・ラオス国別事務所による次の2点のバンコク発英文記者発表の抄訳です。