第10回欧州地域会議

欧州・中央アジアにおけるディーセント・ワークを伴った未来に向けた社会の連携を呼びかけるイニシアチブを採択して第10回ILO欧州地域会議閉幕

記者発表 | 2017/10/05
ガイ・ライダーILO事務局長による第10回欧州地域会議閉会挨拶(英語)

 欧州及び中央アジア地域のILO加盟国政労使代表が出席してイスタンブール(トルコ)で開かれていた第10回欧州地域会議は、地域の対話、社会進歩、経済成長の促進においてパートナーシップの役割がカギを握ることとなる仕事の未来に向けた呼びかけを行って2017年10月5日に閉幕しました。

 出席者らは「欧州・中央アジアのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)にとっての未来:機会と課題」のテーマの下、急速な技術進歩、グローバル化、人口動態、難民及び移民の大規模な移動、環境面の課題など、地域の仕事の未来を形作っている動的なプロセスに焦点を当てて3日間にわたり熱心な議論を展開し、地域の仕事の未来に関連した利益の最大化とリスクの最小化を図るための政策枠組みとしてイスタンブール・イニシアチブを採択しました。ILOに対しては、加盟国政労使によるこのような政策の設計に必要な助言と支援を与えることを求めました。イニシアチブは、「仕事の未来に影響を与えている変化の推進要素、とりわけ技術発展は無数の機会と同時に、相当の課題も提示する」として、1944年のILO総会で採択されたフィラデルフィア宣言などを引用して「労働は、商品ではなく」、「加盟国には、就労に係わる基本的な原則及び権利を尊重、促進、実現する義務がある」と記しています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、閉会挨拶において、仕事の世界の前途には相当量の不確実性が存在することを指摘した上で、「楽観的や悲観的になるよりもむしろ、野心と決意をもって一致団結する必要がある」と呼びかけました。野心の意味について、事務局長は、「受動的な見物人として変化の過程を受け入れるのではなく、自分たちが欲するように仕事の未来を形成できるよう、変化の立案者になる決意を持つこと」と説明し、ILOは過去1世紀にわたり、変化の受動的な見物人などではなく、歴史に残る変化の立案者として、社会正義の方向に変化が曲がるのを確実にするよう大いに努力してきたことを挙げ、「これを続けなくてはならない」と訴えました。

 ILOでは、アジア太平洋、米州、アフリカ、欧州の各地域の政労使代表が集まって、地域の問題や活動優先事項を話し合う地域会議を、原則として年に1つずつ、4年に一度の間隔で開催しています。第10回欧州地域会議では、2013年に開かれた第9回会議以降の域内諸国における、「全ての人のディーセント・ワークの実現」を目指すディーセント・ワーク課題の実施における進捗状況を検証すると同時に地域の現在の及び将来的な課題について話し合いが行われました。

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 以上はイスタンブール発英文記者発表の抄訳です。