男女平等

働く女性のための同一賃金を後押しする強力な世界規模の連合誕生

記者発表 | 2017/09/18

 国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が定める持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット8.5は、2030年までに同一価値労働同一賃金を達成することを呼びかけています。国連総会が開かれているニューヨークにおいて2017年9月18日、このターゲット8.5を中心に、SDGsで優先されている重要な問題に取り組む世界規模の対応として、女性の職業における成功と経済成長を阻む最もしつこい障害の一つである賃金不平等に積極的に取り組む世界規模のパートナーシップが新たに誕生しました。ILO、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women)、経済協力開発機構(OECD)が主導して発足した「同一賃金国際連合(EPIC)」は、男女同一価値労働同一賃金を現実のものとするために、国内、地域、世界の様々な行動主体の結集を図り、政府、使用者、労働者、労使団体、その他の利害関係者を支援します。

EPICの目指す達成目標と男女賃金格差に対する取り組みが重要な理由について説明するマヌエラ・トメイILO労働条件・平等局長(英語)

 同一賃金は女性の地位向上に加え、包摂的な社会の促進、貧困削減、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と男女平等のための条件の形成などといった、他の重要な目標の達成にも相当の影響を与える可能性があります。使用者、労働組合、その他の主要な利害関係者は、同一賃金政策・方針の適用及び遂行において中心的な役割を担うことになります。今年初めにUN Womenが女性の地位委員会で設置を発表した「擁護者の発言の場」もEPICの一部として同一賃金に関する擁護活動の強化に寄与することが期待されます。最近発表されたILOとギャラップ社の共同報告書は、142カ国の標本調査をもとに男性も女性も女性が有償の仕事に就くことを望んでいるものの、賃金不平等や仕事と家族的責任の両立、費用を負担し得るケアを利用できる機会の欠如、不公正な処遇など、働く女性は依然として様々な課題に直面していることを示しています。同一賃金の問題は国連の討議でも優先的に取り上げられており、例えば今年発表された国連事務総長の女性の経済的エンパワーメントのためのハイレベルパネルの報告書は女性の経済的エンパワーメントを前進させるために必要な変化を引き起こす活動に焦点を当て、同一価値労働同一賃金の重要性を強調しています。新たに発足したEPICの革新的な活動はハイレベルパネルの報告書でもILOとギャラップ社の報告書でも光が当てられた賃金不平等を強化すると考えられている主な原因に取り組む上で大きく寄与する可能性があります。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、世界中でなおも同一価値の労働に対して女性には男性よりも低い賃金が支払われていることを「最も目に付く、明確で幅広く見られる差別の表現形態の一つ」と呼び、それを同一賃金イニシアチブ誕生の理由、創立100周年記念事業の一つであるILOの働く女性100周年記念イニシアチブがこれを重点分野の一つにしている理由に挙げています。そして、同一価値労働同一賃金の原則は1919年に採択されたILO憲章に掲げられている事実に注意を喚起して、「100年間は待つには長すぎる」として、「同一価値労働同一賃金を現実のものとするために私たちは皆で共に取り組まなくてはならない」と訴えています。UN Womenのプムズィレ・ムランボ=ヌクカ事務局長は、「男女の仕事が同一価値である場合、女性に不平等な賃金となることを正当化する理由は何もありません。この不正義はあまりにも長く見過ごされてきましたが、私たちは共にこれを変えようとしています。女性に対する同一賃金は女性だけでなく、家族にとっても生涯の利益となります。より良いキャリア展望と生涯収入、より大きな独立性、そして子どもたちの教育と保健に対するより高い投資へと」と語っています。OECDのアンヘル・グリア事務総長は、「政策の不備や差別的な法規、見当違いの経済的インセンティブ、職場慣行、社会規範、制度機構など」、男女不平等には様々な根源があることを指摘した上で、「男女に同一の賃金を提供することに成功したとしたら、私たちには数億人の女性とその家族の生活の質をただちに向上できる力がある」と唱えています。

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 以上はニューヨーク発英文記者発表の抄訳です。