ILO新刊

中国の貿易、投資、プロジェクトが中南米・カリブで生み出した雇用は180万

記者発表 | 2017/09/07
報告書を発表するホセ・マヌエル・サラサールILO中南米・カリブ総局長

 ILOは2017年9月7日にメキシコシティにおいて、中国との経済関係が中南米・カリブ地域の雇用に与えている影響を調べた初の調査研究成果を発表しました。『Effects of China on the quantity and quality of jobs in Latin America and the Caribbean(中南米・カリブの仕事の量と質に対する中国の影響・英語)』と題する新刊書は、1990~2016年の期間に中南米・カリブ地域で創出された雇用の約4%に相当する少なくとも正味180万人分の雇用が中国の係わる貿易、投資、基盤構造事業を通じて生み出されたことを示しています。この3分の2近くが貿易を通じて創出されたものです。

 報告書を発表したホセ・マヌエル・サラサールILO中南米・カリブ総局長は、この推定が過小評価に過ぎない可能性を挙げ、今回の調査研究の目的は、これまで看過され圧倒的に知識が不足しているこのテーマに関する知識不足に取り組む最初の試みであったと説明しました。報告書は得られる統計データを検証した上で、さらに掘り下げた研究のための方法論を提案しています。

 報告書は貿易、外国直接投資、基盤構造事業の三つに分けて、中国と中南米・カリブ地域の関係が緊密化し、複雑さが増した1990年代以降の状況を分析しています。1992年まで中南米・カリブの貿易に占める割合が1%に過ぎなかった中国ですが、現在は第2の貿易相手国に成長し、中国側から見てもこの地域は第4の貿易相手です。しかし、この状況は矛盾をはらんでいないわけではなく、中南米・カリブ側の大きな貿易赤字と貿易の総額及び技術的内容における大きな格差がこの関係を特徴付けています。2007~08年から中国はこの地域への直接投資を開始し、現在は鉱業、石油、ガス、その他の原材料を中心に毎年約100億ドルの資金を投入しています。2013年からは基盤構造事業が開始されています。

 中国との貿易は、1995~2011年の期間に、アルゼンチン、ブラジル、チリ、メキシコの4カ国で正味115万人分の雇用を生み出しました。2003~16年の期間に中南米・カリブ地域に対して行われた271件総額約1,200億ドルに達する中国の直接投資は26万人分の雇用を生み出し、2005~16年の期間に行われた60件850億ドルを超える基盤構造事業は約35万人分の雇用を地域に生み出しました。

 サラサール総局長は経済水準だけでなく労働問題に関連しても機会と目的の両方について健全な理解を得ることの重要性を指摘し、「あらゆる点からこの地域における中国の存在及び関与は今後も増大する兆候が示されている以上、多くの域内諸国にとっての主な貿易相手国または最大の直接投資・融資国である中国との関係の実態」を展望する必要性を強調しました。

 創出された雇用の質については比較可能なデータが存在しませんが、中・高位の職に中国人を優先させる傾向や現地労働力研修費用の高さ、中国系企業側における現地の慣習や労働規則の学習や適応における問題点などの事例が指摘されています。著者らは報告書を完璧にするには、創出された雇用の質の確定などが必要と説いています。

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 以上はメキシコシティ発英文記者発表の抄訳です。