仕事の未来

ILO仕事の未来世界委員会発足:日本からは慶應義塾大学の清家篤教授が参加

記者発表 | 2017/08/21

 2019年の創立100周年に向けて、ガイ・ライダーILO事務局長が2013年に開始した「仕事の未来100周年記念イニシアチブ」の下、2019年の100周年記念ILO総会に提出される独立報告書の作成を任務とする委員会が設置されました。

 2017年8月21日にジュネーブのILO本部で開かれた発足式典で構成が発表された「仕事の未来世界委員会」は、モーリシャスのアミーナ・ギュリブ・ファキム大統領とスウェーデンのステファン・ロヴェーン首相という2人の現職首脳が共同委員長を務め、世界各地から選ばれた22人の専門家と職責で参加するILO理事会役員及びライダーILO事務局長の計28人で構成されています。日本からは労働経済学を専門とする慶應義塾の清家篤前塾長が参加しています。他に、国際産業別労働組合のUNIグローバルユニオンのフィリップ・ジェニングス書記長、フォード財団のダレン・ウォーカー会長、世界経済フォーラムのリチャード・サマンズ・マネージング・ディレクター、自営女性協会(SEWA)のリーマ・ナナバチ元事務局長、コレージュ・ド・フランスのアラン・シュピオ教授などそうそうたる顔ぶれが集まっています。

 委員会は、とりわけ仕事と社会の関係、全ての人に働きがいのある人間らしい仕事を創出する課題、作業組織・生産組織、仕事の統治に焦点を当て、21世紀に社会正義を実現するための分析的基盤を提供できるよう、仕事の未来について掘り下げた検討を行う予定です。ガイ・ライダーILO事務局長は、これらの諸点について、世界中の家族の希望、そして時には不安を規定し、ますます政治生活を占めるようになってきている私たちの時代の鍵を握る論点であることに人々の注意を喚起し、「根本的に重要なのは、仕事の未来は予め決定されているのではないとの信念を持ってこういった課題に立ち向かうこと」と説き、未来とは、「私たちが選択する価値と選好に従い、私たちが設計し実行する政策を通じて作り上げるもの」と訴えました。

 発足式典において、ギュリブ・ファキム大統領は「仕事の未来の機会と課題に取り組む方法に関する新奇なアイデアと包括的な提案を見出すこと」を全ての国と利害関係者に強く呼びかけ、これは「人を第一に置くことによって」、つまり、ILO憲章の精神に則り、労働は労働市場における単なる商品以上のもの、あるいは単なる生産の一要素以上のものと認めることによって達成できると強調しました。ロヴェーン首相は、「開発は止められないし、そうしようと試みるべきでもない」と説き、「必要なのは、集結し、数百万の人々の日々の暮らしの改善に向けて革新を活用し、よりクリーンでより持続可能な社会の構築に向けて新技術を利用し、同時に全ての人々により良い条件の新たな仕事を創出すること」であり、それこそが「この委員会の中心にある目標」と説明しました。

 仕事の未来100周年記念イニシアチブの下、世界委員会の発足に先立つ18カ月間にわたり、日本を含む世界110カ国以上で、政府、使用者団体、労働者団体といった、ILOを構成する組織による国内対話が実施されました。対話の結果は報告書の内容に反映されます。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。