アジア太平洋労働大臣会合

アジア太平洋労働大臣会合:持続可能な開発の中心にあるディーセント・ワークについて意見交換

記者発表 | 2017/06/13
アジア太平洋労働大臣会合で挨拶するガイ・ライダーILO事務局長(中央)

 ジュネーブでは、現在開かれている第106回ILO総会に合わせて様々な会議が側面的に開かれていますが、6月13日に開かれたアジア太平洋労働大臣会合では地域の包摂的な成長のための雇用創出の展望について意見交換が行われました。中東から大洋州に至る幅広い地域のILO加盟国の労働大臣らは自国の労働市場や雇用情勢に関する最新の情報を紹介しました。

 会議で挨拶したガイ・ライダーILO事務局長は、同日行われたインドによる「1973年の最低年齢条約(第138号)」と「1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)」の批准タイによる「1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)」の批准という、基本条約批准の重要性を強調した上で、「世界的な金融・経済危機を経て、世界経済がゆっくりながら持続的な成長軌道に戻りつつあるのは、アジア太平洋経済の強靱性のおかげであるところが大きい」として、この地域がグローバル経済における経済成長の創出において果たしている重要な役割に光を当てました。

 その上で、事務局長は、「働く貧困層(ワーキング・プア)がなおも多く、開発の利益がまだ国家・地域の内外で平等に分配されていないとの事実は、私たちの課題が単なる経済成長の創出、単なる仕事の創出ではなく、勤労者とその家族の貧困からの脱却を可能にする働きがいのある人間らしい仕事の創出であること」を示す点に注意を喚起しました。

 様々な点でディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が持続可能な開発のカギを握ることを国際社会が確認した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択によって国際社会は重要な一歩を大きく踏み出しましたが、事務局長は、今後2年間のILOの活動の枠組みはアジェンダの掲げる17の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に十分に沿っており、昨年12月にインドネシアで開かれた第16回ILOアジア太平洋地域会議で採択されたバリ宣言が定めている当該地域におけるILOの目標はディーセント・ワークを2030アジェンダの中心に据えることに一致していることを紹介しました。そして、これに関してILOは国際レベルでは国連諸機関と協働していますが、2030アジェンダを地域や諸国の戦略に落とし込むには、加盟国政労使との協働が必要であると訴えました。

 任期1年のアジア太平洋労働大臣会合の議長は本会合の終了と共にイランからイラクに引き継がれました。次の会合は11月のILO理事会の際に開かれます。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。