国際労働基準

インドが児童労働に関するILO基本条約2本を同時批准

記者発表 | 2017/06/13

 2017年6月13日にインド政府は児童労働の撤廃に関するILOの基本条約である「1973年の最低年齢条約(第138号)」と「1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)」の両方の批准書を寄託しました。これによって、軽易労働と芸術的な演技を除く全ての職業または業務について就業が認められる最低年齢を定めることを批准国に求める第138号条約の批准国は170、奴隷労働や強制労働、人身取引、武力紛争、売春、ポルノ製造、薬物取引などの不正な活動における児童の利用、危険有害労働といった、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を求める第182号条約の批准国は181となります。世界第2位の人口大国であるインドの批准により、第138号条約の適用割合は世界の子どもの6割近くから約8割に急上昇し、第182号条約は世界中ほぼ全ての子どもに適用されるようになります。

インドによる第138号条約及び第182号条約批准書寄託式典模様(英語)

 批准書の寄託に当たり、インドのバンダル・ダッタトレヤ労働大臣は、この2条約の批准は「児童労働のない社会」に向けた同国の公約を再確認するものと紹介し、これに関連して講じられた一連の措置として、2016年9月1日に施行された、あらゆる職業または工程における14歳未満の子どもの就業を完全に禁止し、14~18歳の年少者についても危険で有害な職業及び工程への就業を禁じる形で行われた1986年児童労働(禁止・規制)法の改正、児童労働の防止・禁止、児童労働者の救済・社会復帰のための幅広く具体的な枠組みを初めて提供するものとして最近行われた児童労働(禁止・規制)中央規則の改正、年少者に架け橋教育や職業訓練を提供する社会復帰制度である児童労働全国プロジェクトの強化などを挙げ、児童労働の撤廃は2030年までに持続可能な開発目標を達成するためにも決定的に重要であるため、最近講じられた児童労働撤廃に向けた事業の勢いを維持する必要性に言及しました。

 ガイ・ライダーILO事務局長は「近年インドで見られる児童労働対策における大きな前進」と「公共政策・サービスの一貫性を確保する整合モデルが果たしている大きな役割」は皆に認められており、本日行われた2条約の批准は、「あらゆる形態の児童労働の悪弊に対する世界的な戦いに向けた公約を条約上の義務としてさらに堅固にするもの」であるだけでなく、「就労に係わる基本的な権利の完全な尊重に向けた同国の前進を表す」として、批准を歓迎しました。

 ILOの全条約の中でも最も早く批准が進んでいる第182号条約の全加盟国による批准には、これであと6カ国を残すだけになりました。この点について、ライダー事務局長は、「持続可能な開発目標の採択、とりわけ『持続可能で包摂的な経済成長、雇用、すべての人々のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進』を掲げるその目標8、そして2025年までに児童労働の完全撤廃を目指し、最悪の形態の児童労働の禁止と撤廃に向けた即時の行動を呼びかけるそのターゲット8.7の採択によって再確認された世界全体の圧倒的な合意を反映するもの」と評価しています。

* * *

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。

 また、2014年にノーベル平和賞を受賞した子どもの権利の擁護者であるインドのカイラシュ・サティアルティ氏も同国による児童労働基本条約2本の批准を歓迎する動画メッセージを発表しました。第182号条約採択時に、世界中からジュネーブのILO総会議場に向かって行われた児童労働に反対するグローバル・マーチを組織したサティアルティ氏は当時の運動を振り返り、かつては児童労働や児童奴隷の問題に蓋をしようとしていた政府が姿勢を転換して条約批准にまで踏み出した展開を歓迎しつつも実施の重要性に注意を喚起して、皆が結集して児童労働に終止符を打ち、この世代を児童労働を目撃する最後の世代にしようではないかと呼びかけました。