G20労働・雇用大臣会合

G20労働・雇用大臣会合:包摂的な成長と開発に向けて仕事の未来を形作る政策について合意

記者発表 | 2017/05/19
バート・ノイエンアール=アールヴァイラーに参集した主要20カ国・地域(G20)の労働・雇用大臣ら © BMAS / Lein

 2017年5月18~19日にドイツのバート・ノイエンアールで会合をもった主要20カ国・地域(G20)の労働・雇用大臣は、世界中の人々のためになる未来の形成に向けて技能開発、社会的保護、労働条件に関する幅広い政策提案を盛り込んだ宣言を採択しました。会合に出席したガイ・ライダーILO事務局長は、「包摂的な未来に向けた仕事の世界の形成」と題する宣言の採択を、「包摂的な成長と開発に向けた政策」に対するG20諸国の労働・雇用大臣による重要な貢献として歓迎しました。この宣言は、世界経済が誰にとっても機能するような包摂的な成長に向けた包括的な経済・社会政策を各国に提案しています。宣言に含まれる措置は、労働条件が改善された、より多くの仕事が創出されるように仕事の世界で起こりつつある変化を育む一連の選択肢をG20諸国に提示するものとなっています。

 大臣らは仕事の未来に関し、技術変化やデジタル化、グローバル化、人口学的遷移、仕事についての期待の変化が労働市場に抜本的な変化をもたらし、新たな機会と課題を生み出しているとの点で合意に達し、技能開発、社会的保護、公正で順応性がある労働編成と労働条件に関する社会対話、地域別事業計画、持続可能な企業といった分野について、世界中の労働者のためになるような未来の形成に向けた詳細な政策を提案しています。これについてライダー事務局長は、「変化が全ての人に及び、より良い方向に向かうよう確保するG20諸国の大きな前進」と評価し、2019年の創立100周年に向けてILOで進められている仕事の未来100周年記念イニシアチブに対する大臣らの積極的な関与に対する期待を表明しました。

 労働安全衛生の分野では、先進7カ国(G7)が主導して、グローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)における労働安全衛生慣行の改善を通じて職場関連の死傷事故・疾病を防止・予防する活動及び職場の安全性に向けた具体的な活動を支援する信託基金としてビジョン・ゼロ基金が設けられていますが、ライダー事務局長は、ドイツ及びノルウェー政府によるこれに対する重要な貢献を歓迎しました。

 今回の会合では女性の仕事の質の改善を通じて賃金及び労働市場参加における男女格差を縮小する方策に関する議論も行われ、働く女性に利し、全ての人のためになる方向に変化の速度を速める助けになるような、相互に強め合う措置を示す総合的な取り組みも列挙されています。

 サプライチェーンは包摂的な成長と開発を推進する強力な要素となり得ますが、会合ではまた、持続可能なグローバル・サプライチェーンに向けてディーセント・ワークを育む方法に関する話し合いも行われ、G20諸国には働きがいのある人間らしい労働条件を促進する共同の責任があること、企業は競争のために労働基準を切り下げてはならないこと、そしてサプライチェーンの全体を通じてディーセント・ワークを促進するような相互作用と意思決定のプロセスを育む必要性が認められました。

 さらに、G20諸国における1億3,000万人超の移民、500万人近い難民、相当数の帰還移民の持続可能な統合を促進する上でカギを握るのは雇用であることで大臣らは合意に達し、移民及び難民の労働市場参加を緩和する幅広く詳細な政策慣行リストが提案されました。これについてライダー事務局長は、「あまりにも多くの人々が不和を育むために利用しようとしているテーマに関してコンセンサスを見出そうとの労働・雇用大臣のリーダーシップ」について「G20諸国のリーダーらも非常に喜んで承認しよう」と評しています。

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 以上はバート・ノイエンアール発英文記者発表の抄訳です。