ILO影響力ある保険ファシリティー

無保険リスクの低減に向けた革新的な手法を紹介するILOの影響力ある保険ファシリティー2016年年次報告

記者発表 | 2017/02/27
ベトナム北部のこの女性の生花事業は小規模融資を受けて改善しました © ILO

 2008年に米国のビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団から資金協力を受けて開始されたILOの事業計画「影響力ある保険ファシリティー(旧名「小規模保険イノベーション・ファシリティー」)」は、革新的な保険商品の発掘・調査研究を行い、得られた知識や学んだ教訓の普及に努め、幅広い影響力のある保険商品を推進し、包摂的な保険市場の育成を図ることによって、依然として適切な保険商品から除外されている、世界中で約40億人にも上る低所得者と中小企業に希望を与えることを目指しています。このたび発表されたファシリティーの2016年の年次報告は、43の組織におけるビジネス慣行の改善を図り、5万6,000人の利害関係者と最先端の解決策を共有し、25万人以上の受益者にサービスを提供するに至ったこの事業の活動を紹介しています。

 ファシリティーはまた、フランス開発庁(AFD)及び「ファイナンシャル・セクター・ディープニング・アフリカ(FSDA)」と提携してサハラ以南アフリカで11の革新(イノベーション)・変革管理プロジェクトを開始しました。「このプロジェクトは私たちが保険の境界を押し広げ、保険の開発潜在力を十分に活用できるような手段を試し続けることを可能にするでしょう」とファシリティーのクレイグ・チャーチル・チームリーダーは語っています。このイノベーションには、サプライチェーン(供給網)への保険の組み込み、官民パートナーシップの強化、規模と効率性の引き上げに向けた科学技術の利用など、個人と社会の両方に対する保険の影響力と便益を高める前途有望な解決策が含まれています。

 変革管理の枠組みを適用することによって、このILOの事業計画は、低所得市場に提供できるサービスの改善に向けて保険業者が組織内で必要な変革を起こすことを手助けしています。ファシリティーの提供する能力構築プログラムの幅も広がり、今ではバングラデシュ、ナイジェリア、セネガル、ケニア、フィリピンのパートナー機関で実施されている10の「指導員研修」コースも含まれています。この他に、責任ある保険を産業全体で促進する新たな研修コース、費用効果的に農家に指数連動型保険について教える、産業全体にわたる新たな解決策の試行、悪天候に関連した幾つかのリスクの小自作農による管理を手助けできる革新的な金融サービスなどを挙げることができます。

「影響力ある保険ファシリティー」の活動について語るクレイグ・チャーチル・チームリーダー(英語)

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。