ILO100周年記念イニシアチブ

「私たちの望む仕事の未来」に関する画期的イベントを4月6~7日にジュネーブのILO本部で開催

記者発表 | 2017/03/29

 ILOは2019年に創立100周年を迎えます。ガイ・ライダーILO事務局長は、これを将来に向けた課題に取り組む手段をILOに装備させる事業を開始する機会ととらえ、2013年の第102回ILO総会に提出した事務局長報告の中で七つの100周年記念事業を提案しました。この一つである「仕事の未来イニシアチブ」の下、仕事の世界で進行中の大規模な変化を推進している要素を理解し、新たな課題に効果的に応える方法を探る活動が2016年から進められていますが、この一環として、来る2017年4月6~7日にジュネーブのILO本部において仕事の世界の当事者に加えて世界の主導的な学識者や経済学者が集い、未来の職場を形作るであろう奥深い変化について話し合う大規模なイベントが開催されます。

 2016年に各国で実施された国内対話を経てこのたび開かれる「私たちの望む仕事の未来:グローバル対話」は、仕事と社会全ての人のための働きがいのある人間らしい仕事作業・生産組織仕事の統治(ガバナンス)といった、100周年記念懇談の四つのテーマに沿って組織されます。既に労働者または使用者として働いている若者を含み、若者自身に仕事の未来に関する見解を表明してもらう特別の機会も設けられます。イノベーション(革新)と技術変革、グローバル経済、気候変動、人口動態、不平等の拡大など、仕事の性質の変化を推進している様々な要素が取り上げられる予定です。

 「私たちの望む仕事の未来」をイベントのテーマとしたことについて、ガイ・ライダーILO事務局長は、「仕事の未来は予め定まっているわけではなく、私たちの欲する種類の未来を築くことは、私たちに委ねられていることなのですから」と語っています。そして、このイベントが、「私たちが目撃している抜本的な変化をより良く理解し、社会正義の諸原則に導かれた未来という、私たちの欲する仕事の未来を形成できる効果的な対応策の策定に向けた重要な一歩」となることへの期待を述べています。

 ジュネーブの国連欧州本部に登録されている特派員の方々を除き、本イベントの取材をご希望の報道機関の方々は事前の登録が必要です。4月7日(金)午前8時からは、仕事の未来に係わる事項についてライダー事務局長に直接取材できる記者朝食会が開かれます。

 イベントの模様はインターネット上のILOのウェブサイト及びフェイスブック・ページを通じてオンラインで動画を視聴することもできます。また、ハッシュタグ#ILOFOWを用いて、フェイスブックあるいはツイッターを通じてパネリストに質問を行うこともできます。

◎私たちが望む仕事の未来を準備するイベントに対する期待を示すグリーンフィールドILO政策担当副事務局長

デボラ・グリーンフィールドILO政策担当副事務局長

 デボラ・グリーンフィールドILO政策担当副事務局長は、ILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」への2017年3月13日付の投稿記事で、仕事の世界が今日迎えつつあるこの重要な岐路においては、政府、使用者、労働者の政策に対する取り組みのの足並みを揃える必要があると説き、これを4月のイベント開催理由の一つに挙げ、イベントが私たちが目撃しつつある変化に関する理解の向上、仕事の未来を形作ることができる効果的な政策対応策を考案する上での重要な一歩となることへの期待を次のように記しています。

 かつて仕事は家族や生計を支えるための単なる職以上の意味を持ち、職業コミュニティーや個人のコミュニティー形成の場になり、その努力は退職金のような給付、傷病時のある種の保障措置、公正な定期的賃金などといった一定レベルの安全保障によって報いられてきました。こういった契約の性質上、生涯を通じて同じ使用者の下で働く終身雇用がしばしば見られました。このような働きがいのある人間らしい仕事は、それに手が届かない多くの人々にとっても目標であり、管理者は安心して訓練することができる安定した労働力を享受できました。

 しかし今、仕事の世界は岐路に立っています。世界金融・経済危機は世界全体で2億人の失業者を生み、不安定性が広がり、世界中の労働市場が奥深い変化を経験しつつあります。この変化は仕事の意味についての再考を促し、社会は人々が必要としている仕事と収入が確保される方法を見出すよう挑まれています。典型的な雇用関係は廃れ、ILOが「非標準的な雇用形態」と呼ぶところのパートや臨時労働、派遣労働、呼び出し労働、偽装された雇用関係、従属的な自営業などに従事する労働力が世界的に増え、情報技術の発展を活用して自宅であるいは独りで働く人も増加しています。この働き方は育児や介護、勉学やさらなる訓練と仕事を両立できるプラスの選択肢となる場合もあるものの、一方で雇用条件や収入、労働時間に留まらず、安全で健康的な職場への権利や代表性と発言力などの職場の基本的な事項における不安定性と関連する場合も多く、実際例えば、新技術の助けを借りて必ずしも職場にいる必要がないといったように、労働時間に関する自己決定の自律性を増すことによってワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を向上させる助けになる場合がある一方で、長時間労働や私的時間と賃金対象時間との区別の曖昧さを増してストレス度の上昇や報酬に係わる問題を招いてもいます。企業にとっても、需要に合わせて調整できる柔軟な人員配置を許す一方で、臨時労働者への過度の依存は訓練や組織・技術革新への投資の減退に伴う生産性の伸び悩みといった課題を提示する可能性があります。

 仕事の世界で現在進行中の変容から影響を受けない契約形態は存在しないため、あらゆる種類の労働取り決めがディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)となるよう確保する政策が必要です。今後も新たな変化がもたらされることは確実であるものの、人々が生活の糧を仕事に頼り、仕事が人々の全体的な福祉に影響を与える状況が変わらないと思われる以上、全ての人にディーセント・ワークを促進することを目標に、国内、地域、国際的な取り組みを通じて、仕事の未来の文脈でこういった課題に焦点を当てることは政労使に与えられた役割なのです。

広報動画-仕事の未来100周年記念イニシアチブとは(英語)

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 以上は次の3点のジュネーブ発英文広報資料の抄訳です。