ILO/IFCパートナーシップ

中東・北アフリカの若者の雇用後押し、起業家精神支援に向けて力を合わせるILOとIFC

記者発表 | 2016/10/10
ジャラダトILOアラブ総局長(写真左)とマクフルフIFC中東・北アフリカ局長 © ILO

 世界で最も公式失業率が高い中東・北アフリカ地域ですが、若者の失業問題は特に厳しく、30歳未満層の4分の1近くに職がなく、その経済コストは年間400億ドルを超えると見られます。そこで、ILOは世界銀行グループの国際金融公社(IFC)と新たなパートナーシップを結び、民間部門の成長を育み、経済開発を推進する幅広い取り組みの一部として、中東・北アフリカの若者の起業家精神と技能開発を支援することとしました。

 この事業は政府機関、事業開発サービスの提供者、民間セクターの団体、起業家や教育機関を対象とした能力構築と教育プログラムを通じて地域の若者の起業を支援するILOの現在進行中の活動の一部です。ILOは2013年から366の教育機関で職業・技術・高等教育を受けている約1万5,000人の青少年を対象に「事業について知る(KAB)計画」を実施しています。また、小規模企業主を対象とした「開業・事業改善(SIYB)計画」を通じて過去5年間に510の企業が新たに誕生し、1,345人分の雇用機会が創出されました。

 この事業はまた、中東・北アフリカ地域における小企業支援、起業家精神奨励、金融機会の拡大、雇用創出に向けたIFCのより幅広い戦略の一部でもあります。6月に年度末を迎えた2016会計年度にIFCはこの地域に対して13億ドルの拠出を約しました。さらに、規制改革から企業統治、紛争解決に及ぶ幅広い事項に関して政府と民間企業の双方に助言を提供する新規事業を20件も開始しました。

 963人の企業家と1,697人の労働者の参加を得て、新設企業のインキュベーターであるワンダが最近、IFCの支援を受けて実施した調査からは、回答企業家の半分近くが資格のある労働者の採用に苦労していることが明らかになりました。営業や事業開発、経営のスキルを備えた求職者は特に不足しており、回答企業家のおよそ4割が、やる気や独立性、高い適性といった必要不可欠なソフトスキルを備えた労働者がなかなか見つからないと回答しています。

 ルバ・ジャラダトILOアラブ総局長は、中東・北アフリカ地域は失業、不完全就業の状態にある若者の増加にとりわけ大きな打撃を受けていることを指摘した上で、この新しいパートナーシップで共有されている目的は、起業家精神を支え、市場で必要とされている技能を若者が備えることを確保し、もっと多くの若者が企業家になるよう奨励する政策の策定を手助けすることであると説明しています。

 IFCのドミトリス・チチラゴス・グローバル・クライアントサービス担当副総裁は、若者の失業は中東・北アフリカ地域の国々に影響を与え、地域の多くの経済を不安定化し、潜在力の実現を妨げているとして、貧困を撲滅し、持続可能な経済成長の基盤を敷設したいと望むならば、若者の失業問題という課題に取り組むことが必要不可欠と説いています。ムアエド・マクフルフ中東・北アフリカ局長も、雇用創出を推進し、イノベーションをもたらし、地域の競争力上昇を助ける企業家に好ましいビジネス環境の形成支援は、この地域におけるIFCの戦略的優先事項の一つと述べています。

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 以上はILOアラブ総局によるワシントンDC発英文記者発表の抄訳です。