全ロシア労働安全衛生週間

全ロシア労働安全衛生週間:ILO部長が労働者の安全と健康に対する投資の強化を呼びかけ

記者発表 | 2016/04/20
全ロシア労働安全衛生週間のイベントで講演するHIV/エイズと仕事の世界部のウエドラオゴ部長

 4月28日はILOの定める労働安全衛生世界デーです。ロシアのソチ市は2015年からこれに合わせて4月に全ロシア労働安全衛生週間を設定し、労働安全衛生分野の前進、安全な労働条件の促進、環境と人間の健康の保護に係わる最新の動向と展望について国際的な話し合いを行う期間としています。

 4月18~22日に設定された2016年の全ロシア労働安全衛生週間の主会場では、今年の世界デーのテーマである「職場におけるストレス:集団的な課題」に関するものを含み、140余りのパネル討議、円卓会議などの会議・会合、ワークショップ、再教育・上級研修コースが開かれ、参加者総数は約8,000人に達すると予想されます。

 ILOから会議に参加したHIV/エイズと仕事の世界部のアリス・ウエドラオゴ部長は、ILOの推定では労働災害の被災者は世界全体で年間3億1,700万人に達し、加えて230万人以上が業務関連の事故や疾病で命を落としており、これは15秒ごとに一人の割合に当たることに注意を喚起し、「安全で健康的な職場環境を確保する最善の方法は事故や疾病が起こる前に行動を取ること」として、魔法のキーワードである「予防」を強調しました。また、職場における労働安全衛生に対する拙劣な取り組みの経済的負担は毎年世界全体の国内総生産(GDP)の4%に上っていることを紹介して、安全で健康的な職場環境の確保とそのための行動は、企業にも経済全体にも好影響を与えるであろうと説き、このための経費は費用ではなく投資と見るべきと訴えました。

 ILOでは労働安全衛生事項を特に取り上げた40本以上の条約・勧告に加えて、ほぼ同数の実務規程を採択しています。これらはすべての労働者の労働条件改善に寄与するだけでなく、労働安全衛生に対する意識を世界的に高め、あらゆるレベルの実践的な行動を支えることを目指しています。この点で、ウエドラオゴ部長は、2015年にBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インドネシア、中国、南アフリカ)の保健大臣会合で保健目標における協力強化が呼びかけられたことに言及しました。

 HIV(エイズウイルス)の新規感染者はロシアでも増え続けていますが、ウエドラオゴ部長はこの点で、世界全体で3,700万人と推定される感染者の半数程度が感染の事実を知らないと見られることに言及し、感染を阻止する予防の大切さを強く訴えました。今年3月にモスクワで開かれた第5回東欧・中央アジア・エイズ会議ではこの蔓延に取り組む多産業部門にわたる取り組みに対する強い政治的な支援が表明されましたが、ウエドラオゴ部長はILOとロシア国内のパートナーが果たした役割として、秘密が守られた任意のカウンセリング・検査(VCT@WORK)イニシアチブが2015年に達成した際立った業績を紹介しました。開始されたばかりのシベリア石炭エネルギー社(SUEK)の関与はVCT@WORKイニシアチブへの労使関与の全国的なロールモデルを確立することになり、社会的パートナーと政府の重要なパートナーシップから全国的な広がりを持つ提携関係が生まれた結果、10連邦管区約15万5,000人の労働者、その家族、地域社会にHIV啓発情報の普及が図られ、10万人以上の労働者がHIV検査を受け、陽性であることが判明した、内400人が治療やケア、支援措置の紹介を受けました。

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 以上はソチ(ロシア)発英文記者発表の抄訳です。