ILO新刊:世界の雇用及び社会の見通し-動向編2016年版

ILO新刊予測:世界の失業者数は2016年も2017年も引き続き増加

記者発表 | 2016/01/19
ILO調査研究局研究者らが報告書の内容を3分動画で解説:今日の私たちの世界(英語)

 このたび発表されたILOの定期刊行物『World employment and social outlook - Trends(世界の雇用及び社会の見通し-動向編・英語)』の2016年版(日本語概要)は、依然として世界的に高い失業率と途上国・新興経済諸国の多くで慢性的に見られる脆弱な就業者(個人事業主と寄与的家族従業者の和)はなおも仕事の世界に深刻な影響を与えていると警告しています。2015年の失業者数は最終的に世界全体で、2007年の危機前水準を2,700万人上回る1億9,710万人を数えると見られますが、2016年にも約230万人増の1億9,940万人、2017年にも110万人増の2億50万人に達すると予想されます。先進国経済では失業率が2015年には6.7%に低下していますが(2014年7.1%)、この改善はほとんどの場合、世界金融危機によって引き起こされた仕事の消失分を解消するには不十分です。その上、ブラジル、中国、産油国を中心に、新興経済諸国と途上国で雇用展望は悪化してきています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、新興経済諸国における激しい景気減速と一次産品価格の急落が仕事の世界に劇的な影響を与えており、新興経済諸国と途上国、そして先進国でもますます多くの労働者が低賃金の仕事を受け入れざるを得なくなっていること、さらに一部欧州連合(EU)諸国や米国で失業者数の低下が見られるもののいまだにあまりにも多くの人々が無職であることを指摘して、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を増やす行動を緊急に取らない場合、社会的緊張が激化する危険がある」と警鐘を発しています。

ILO調査研究局研究者らが報告書の内容を3分動画で解説:明日の私たちの世界(英語)

 報告書を作成したILO調査研究局のレイモン・トレス局長も、激しく変動する資本の流れ、いまだに機能不全の金融市場、世界的な需要不足と関連した不安定な経済環境が企業に影響を与え、投資と雇用の創出を妨げ続けていることを指摘して、経済成長を後押しし、雇用危機に対処するには、上手に設計された労働市場・社会政策が必須であることを示す多くの証拠があることに注意を喚起して、「雇用政策を強化し、過度の不平等に取り組むことにもっと注力するよう」政策策定に携わる人々に呼びかけています。

図表:国別・地域別・国家群別失業率の推移

 報告書はまた、依然として仕事の質が大きな課題であることを示しています。貧困率は下がってきたものの、途上国における働く貧困層(ワーキング・プア)の減少速度は落ち、いまだに世界の就業者全体の46%超に当たる15億人近くが脆弱な就業者に数えられます。脆弱な就業者は南アジア(就業者全体の74%)とサハラ以南アフリカ(同70%)を頂点に、途上国と新興経済諸国で特に高くなっています(就業者全体の半分から4分の3)。低賃金、低生産性、社会的保護の欠如を典型的な特徴とするインフォーマル(非公式)就業は比較可能なデータがある途上国及び新興経済諸国の半分ほどで農業外就業者の半分以上、3分の1ほどで65%超を占めています。ライダー事務局長は、「人間らしく働きがいのある仕事の不足が人々をインフォーマル就業に向かわせる」として、「この状況を変え、仕事を巡る大規模かつ世界的な課題に早急かつ精力的に対応すること」を昨年秋に国連で採択された2030年までに達成すべき持続可能な開発アジェンダの実行を成功させる上でカギを握るものと位置づけています。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。