国際障害者デー
「障害を何かその人の特色に変えよう」と提案するハリウッド俳優RJ・ミッテ
「みんなのための日」をテーマとする2015年の国際障害者デー(12月3日)は家族、職場、学校、地域社会における障害者の貢献と業績を認識する機会を提供します。
国際デーに際し、ハリウッド俳優のRJ・ミッテは、ILOのインタビューに答え、障害を何か直すべきものあるいは抜け出すべきものと見るのを止め、「学び成長し変わる機会、自分が何者で何をしているかについて問い直す機会」ととらえようと説き、障害をもっと前向きにとらえることを提唱しています。TVドラマ『ブレイキング・バッド』で主役を務め、自らも脳性麻痺を持つミッテは、多様性を受け入れることの重要性を強調し、障害者に対して次のような前向きのメッセージを送っています。
「あなたが誰で、どんな生活を送っており、この世界のどこに位置するかなどどうでもいい。何かを望むなら、そしてそれは演技だけでなく何についてもだけど、心からそれを望むならば、手を伸ばすがいい。簡単ではないだろう。この世の中で本当に望むもの、あなたにとって本当に価値がある何かは対価なしには得られないのだから」。
ILOジェンダー・平等・多様性部のステファン・トレメル上級障害専門官は、「多様性を受け入れることによって私たちの社会、職場は豊かになり、より持続可能な社会の形成を助ける」として、障害を人間の多様性の一例として見ているILOの姿勢を改めて示しました。
ILO事務局長声明:数百万人の障害者が排除されている
国際障害者デーに際し、ガイ・ライダーILO事務局長は以下のような声明を発表して、最近ILOの「ビジネスと障害グローバル・ネットワーク」参加企業が障害者の企業活動包摂促進を約するネットワーク憲章に署名したことなど、労使団体の擁護活動も紹介しつつ、すべての障害者の社会参画と完全かつ平等な権利の達成に向けた公約を改めて表明し、みんなでディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を阻む障害を打破しようと呼びかけました。
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国際連合及び世界中で祝われる国際障害者デー(12月3日)に際し、ILOなどのジュネーブにある国際機関は障害を持つ方々と共にこの日を「みんなの日」と宣言するものであります。
「みんなの日」は、職場、家族、学校、地域社会における障害者の貢献を認めるよう私たちに呼びかけています。また、人間の多様性の一環として障害を前向きに捕らえ、祝福する約束を再確認することを求めています。
障害は人間の多様性の基本的な表現です。これは第1に、障害者は世界人口の約15%を占める世界最大の少数者集団であり、そして第2に、その出身があらゆる国家、経済的背景、民族にわたるため、おそらくすべての少数者集団の中で最も多様であるからです。
国際障害者デーのこの日、私たちはなおも数百万人の障害者が社会、経済、政治生活の本流から排除されている事実に改めて注意を喚起されています。しかしながら、態度面のあるいは物理的な障壁が除去されたならば、障害のある方もない方も同じくらい生産的で信頼がおけることを私たちは経験上知っています。
かねてより障害を有する労働者の権益を擁護する先駆的な立場を取る労使団体は多く、最近もILOの「ビジネスと障害グローバル・ネットワーク」で新たに設けられた憲章の最初の署名者として11の大手国際企業が名乗りを上げました。この憲章は企業が自社の世界中の事業活動を通じて障害者を促進し包摂する公約を表明するものです。対象とする領域は幅広く、会社の敷地内及びスタッフ間の通信を漸進的に障害を有するすべての従業員がもっとアクセスしやすいものとすることから障害者が直面している烙印や固定観念の撲滅まで多岐にわたっています。
これまでに多くのことが達成され、世界中の国で障害者の権利が認められ、それと共に障害者は社会で正当な場所を獲得するようになってきたものの、残る課題はまだ多く、大多数の障害者がなおもディーセント・ワークとより良い暮らしを享受することを阻まれています。
国際障害者デーに際し、私たちはすべての障害者の社会参画と完全かつ平等な権利の達成に向けた公約を新たにするものです。協力し合うことによって私たちはディーセント・ワークに対する障害を打破し、毎日を「みんなの日」にすることができるでしょう。
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以上はロサンゼルス発英文記者発表の抄訳に2015年の国際障害者デーに向けたライダー事務局長の英文声明の和訳を加えた記事です。