2015年世界エイズ・デー

職場におけるエイズ関連差別撲滅の運動にシャロン・ストーンが協力

記者発表 | 2015/12/01

 ILOは職場におけるHIV(エイズウイルス)関連差別をなくし、職場を通じた任意のカウンセリングと検査を促進するキャンペーンを展開しています。この一環として、2015年世界エイズ・デー(12月1日)に際して、活動家でもあるハリウッド女優のシャロン・ストーンの協力を得た広報動画(英語)が制作されました。この動画でシャロンはHIV陽性が判明して職場のカフェテリアで差別を受けたオレイサの声を代弁しています。人々に取り残されてついには辞職を余儀なくされた彼女の実話を語り終えたシャロンは、「HIV感染者も他のみんなと同じように仕事が必要」と訴えて、職場におけるHIV関連差別の撲滅を呼びかけています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、「職場における差別をなくし、2030年までにエイズが公衆衛生上の脅威でなくなるよう皆の協力を」と呼びかけて、HIV感染労働者に対する差別禁止のメッセージを広める助けを提供してくれたシャロンの協力に感謝を示しています。HIV/エイズと仕事の世界に関するILO計画のアリス・ウエドラオゴ部長は「差別をなくさない限り、エイズはなくならない」と強調し、シャロン・ストーンのような世界的な有名人が、HIV感染による差別を受けながら、しばしば自分では声を上げることができない人々の物語に命を吹き込んでくれることの価値を高く評価しています。

仕事の世界は2030年までにエイズを公衆衛生に対する脅威でなくする助けを提供できると説くILO事務局長

 2015年末までにエイズの蔓延を阻止することを目指すミレニアム開発目標6は達成に向かいつつありますが、新たに採択された持続可能な開発のための2030アジェンダには「2030年までにエイズを公衆衛生に対する脅威でなくする」という、より大胆な呼びかけが含まれています。2015年世界エイズ・デーに際して発表した以下の英文声明で、ライダー事務局長は「職場における任意のカウンセリング・検査(VCT@WORK)イニシアチブ」の成果などにも言及し、改めてこの目標に対する公約を表明しました。

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 今年はエイズの蔓延に対する対応における大きな業績を祝うことができます。予定より8カ月早く、1,500万の人々に命を救う抗レトロウイルス療法を受ける機会が与えられ、HIV(エイズウイルス)新規感染者及びエイズ関連死亡者の数は世界中で減り続けています。これは2015年までにエイズの蔓延を阻止し、その後減少させるというミレニアム開発目標6の達成に向けた重要な歓迎すべき歩みです。

 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」には「2030年までにエイズを公衆衛生に対する脅威でなくする」という大胆な行動の呼びかけが含まれています。これを支えるものとして、国連合同エイズ計画(UNAIDS)は2016~21年について野心的な迅速対応戦略を採択しました。これは三つの「90-90-90」目標の達成を目指しています。HIVと暮らす人の90%が自らのHIV陽性状態を知り、自分がHIV陽性状態であることを知っている人の90%が治療を受け、治療を受けている人の90%が体内のウイルス量の抑制を達成できるというものです。

 ILOは急速な進展を目指すこの5年間の迅速対応イニシアチブを評価します。UNAIDSの共同スポンサー機関の一つとして、現行のHIV対応ペースがたとえどれだけ好結果を生み出したとしても、2030年までにエイズを公衆衛生に対する脅威でなくするつもりであるならば私たちはなおも対応を加速させ、正しい決定と正しい投資を行う必要があるということに私たちは気づいています。

 ILOはインフォーマル(非公式)経済で働く人々と移民労働者、そして定期的な移動で配偶者やパートナーと離れて暮らすことを余儀なくされることによって感染リスクにさらされやすい労働者に手を差し伸べることに重点を置くことを計画しています。ILOは雇用創出や社会的保護のための国のイニシアチブにHIV感染リスクが特に高く対応のカギを握る集団を脆弱な人々も含めて巻き込むことの決定的な重要性を認識しています。

 ILOの技術的助言やサービスは今後も、職場であるいは職場を通じて提供される秘密が守られた任意のHIV検査、そして治療機会の拡大に向けられます。「職場における任意のカウンセリング・検査(VCT@WORK)イニシアチブ」は開始から2年も経っていませんが、世界34カ国250万人の労働者に手を差し伸べ、HIV及びエイズに関する情報や検査機会を提供しました。検査によって陽性が判明した労働者8万人が治療の場を紹介されました。これはHIV陽性者団体も含む私たちのパートナー及び加盟国政労使にとって重要な集団的成功です。

 民間セクターとのパートナーシップを拡充し、民間セクターの比較優位にてこ入れしつつ、労使団体と緊密に協力し合うことは迅速対応ターゲットの達成に大いに寄与することでしょう。

 今後5年間が決定的に重要です。12月1日の世界エイズ・デーに際し、ILOは2030年までにエイズのない世界を達成することに向けた公約を新たにするものであります。

職場を通じたエイズとの闘いについてウクライナが教えてくれること

 欧州で最も急速にHIV(エイズウイルス)感染が広がりつつある国の一つであるにもかかわらず、陽性者の47%程度しかその事実を知らないといったように意識レベルが低いウクライナで、ILOは職場を通じた任意のHIVカウンセリングと検査の普及を目指すVCT@WORKイニシアチブを展開しています。2012~17年を期間とするHIV/エイズと仕事の世界政労使協力全国戦略を策定し、広報提言・支援活動に従事する非政府組織(NGO)である「HIV感染者ウクライナ全国ネットワーク」と政労使の関係を築き上げ、HIV感染者が社会的保護を受ける機会の向上を特に強調しつつ、活発な広報提言及び能力構築活動を進めています。

 様々な検討の結果、ウクライナではVCT@WORKイニシアチブ地域戦略の策定が最善との結論に達し、チェルカーシ地域の企業6社従業員総数1万人超を対象にパイロット事業が試行されました。8,000人以上の従業員に対する啓発活動を行い、2017人が職場で任意のカウンセリングと検査を受けました。地域のエイズセンターと協力協定を結んだチェルカーシ地域労働組合連合のトップを務めるペトロ・シェフチェンコ氏のリーダーシップはイニシアチブの成功に大きく寄与しました。地域及び全国レベルの使用者団体も職場におけるカウンセリングと検査へのアクセスを円滑化し、この事業の域内浸透を促進して活動を支持しました。

 職場におけるHIVカウンセリングと検査は時間や費用を節減し、検査受診の障壁を引き下げるといったように、労働者にとって便利です。労働者は当初検査で陽性が判明した場合の差別を恐れて不安そうでしたが、この事業によって意識が高められるにつれ、HIV検査に対する労働者の態度には明らかな変化が生じました。「試験を受けたかったけれど、エイズセンターに行く決心が付きませんでした。VCT@WORKイニシアチブのおかげで検査を受けることが出来、自分が健康であることが分かりました」とカウンセリング・検査イベントである労働者がコメントしたように、労働者もHIV状態を早期に知ることの利点に気付き始めています。

 12月1日の世界エイズ・デーに際してILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に投稿した記事で、同国でHIV及びエイズ問題を担当するILOのラリサ・サビチュク専門官は、この地域レベルの成功を足場として、VCT@WORKイニシアチブを他の地域にも拡大していく意欲を記しています。

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 以上はロサンゼルス発英文記者発表及びILOブログ12月1日付投稿記事の抄訳に2015年世界エイズ・デーに向けたライダー事務局長の英文声明の和訳を加えた記事です。