パートナーシップ:ILO/ICA

ILOとICAが協同組合とディーセント・ワークの促進における協力体制をステップアップ

記者発表 | 2015/06/30
グリーンICA会長(写真左)とライダーILO事務局長

 国連のミレニアム開発目標の枠内における協力関係に関する協定を2004年に締結したILOと国際協同組合同盟(ICA)は、このたび、2015年以降の開発課題の文脈で協同組合型企業の役割を促進することによって持続可能な開発に寄与することを目指し、これまでの協定を改訂・更新する新しいパートナーシップ協定を締結しました。

 アルベール・トーマILO初代事務局長がフランスの協同組合運動の主導者でICA中央委員会の委員でもあった関係上、ILOは1919年の創立当初からICAと協力して協同組合の促進を図っており、1920年には早くも事務局内に協同組合を担当する部署を設けました。今回の協定の締結によって両機関の協力関係は新しい、より緊密な段階に入りました。

 2012年12月にブリュッセルで初会合を持ったポーリン・グリーンICA会長とガイ・ライダーILO事務局長はディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)その他の持続可能な開発目標に対する協同組合の貢献を促進し、協同組合が男女平等に寄与し、経済危機に強い事実に光を当て、協同組合統計の改善を図ることなどについて合意しました。それ以来、両機関は協同組合振興促進委員会(COPAC)や社会的経済・連帯経済国連機関間タスクフォースなどの場も通じて密接な協力関係を築き上げ、過去2年半にわたって進められた共同調査研究・政策対話イニシアチブはその成果を示し始めています。2014年10月に開かれた協同組合国際サミットで採択された宣言にはディーセント・ワークに関する公約が盛り込まれ、今年11月にトルコで開かれるICAの世界大会では会期中2日間にわたり、協同組合とディーセント・ワークに関する研究会議が開かれます。

 2015年以降の開発課題の分野では、協同組合の促進勧告(第193号)や今年の総会で採択されたインフォーマル(非公式)からフォーマル(公式)経済への移行勧告(第204号)などの関連する国際労働基準を基礎とした活動が展開されます。ILOはまた、持続可能な協同組合開発を促進する機関間委員会であるCOPACにも参加し、協同組合開発機関や訓練機関とも協働しています。

 ライダー事務局長は、最近総会で採択されたILOの2016/17年度の優先事項、そしてICAの「協同組合の十年のための青写真」に完全に合致した前向きの作業である今回の新協定の締結について、「すべての人のディーセント・ワークを伴う持続可能な未来に向けた活動を我々が続けるに当たり、世界中の協同組合の潜在力を十分に活用することを可能にするもの」として、歓迎しました。グリーン会長は、「行き過ぎを抑えて均衡を保つ民主的な仕組みが内在する協同組合は持続可能な開発の礎であるディーセント・ワークと労働基準を促進し、世界中で2億5,000万人の人々に仕事を提供している協同組合は危機の時代においても良質の雇用を創出し、維持できることが証明されており、協同組合はまた、インフォーマル経済の小規模生産者がフォーマル経済に移行するのを手助けする上で重要な役割を演じ、さらにまた、社会、経済、環境の持続可能性という三つの最終的な収益に向けて活動する一つの代替企業モデルを提供する協同組合は持続可能な開発目標を達成する上で不可欠な資産である」といったように協同組合の価値を説明した上で、ILOとの協力関係をステップアップできたことを「誇りに思う」として満足を示しました。

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 以上はパートナーシップ・現地業務支援局によるジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。