ILOパートナーシップ:脆弱国間協力

脆弱国間協力を通じた平和のための仕事の創出についてg7+グループ加盟国が討議

記者発表 | 2015/04/09

 ILOはg7+グループ事務局及びコンラート・アデナウアー財団と共に、3月30~31日にブリュッセルで「平和のための仕事」を育む最善事例について話し合う「脆弱国間協力の枠組みにおける平和と強靱性のための仕事ワークショップ」を開催しました。

 脆弱な状態にある諸国は同じような経験をし、同様の課題に直面しています。こういった困難に対処するための解決策の策定に際し、脆弱国間協力が秘める潜在力がますます大きくなってきています。◇根拠に根ざした開発のための政策選択肢の策定に最も関連する経験をg7+グループ非加盟国も含む低開発諸国から収集すること、◇強靱かつ柔軟な抵抗力の構築に向けて移行経済諸国及び紛争の影響を受けた脆弱な国同士が関連する経験を共有すること、◇脆弱国間協力を通じた脆弱な国同士の協力の増進、◇政策策定に際し、学んだ教訓が活用されるよう国際開発パートナーに働きかけること、といった目的を掲げたワークショップでは、若者の就労を中心とした雇用の創出と安定性の奨励に向けた新たな政策について検討が行われました。

 参加者らは脆弱国の移行に向けた革新的な介入形態や根拠に基づく政策を巡って話し合いを行い、一連の勧告を採択しました。脆弱国における雇用創出について、勧告は、脆弱性を考慮に入れた手法が求められるとして、◇平和を強化するような、国の状況にあった戦略開発、◇若者や疎外されている集団など紛争を推進する可能性がある集団に重点を置くこと、◇労働市場に参加する平等な機会を女性に与えること、◇失業に加えて不完全就業の問題にも取り組むこと、◇インフォーマル・セクター(非公式部門)、フォーマル・セクター(公式部門)両方のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に焦点を当てること、◇より良い意思決定を支えるよう、より良い労働市場データを構築すること、の必要性を指摘しています。また、短期的には政府と開発パートナーが主要な雇用創出源になる場合が多いことを認め、◇労働集約型事業や公共事業、インフラ開発を優先させること、◇緊急の基礎的なニーズに対処するよう戦略的な部門と活動に焦点を当てること、◇零細・中小企業支援、◇緊急・即時の需要に対応するため、職業技能や指導員研修を支援すること、◇援助支出が地元で仕事を創出し、地元の市場を構築することの確保、◇技能などの点で流出した人々を活用すること、が提案されています。

 2010年4月に東チモールのディリで開かれた経済協力開発機構(OECD)の第1回平和構築・国家構築国際対話の中で誕生したg7+グループは、アフガニスタン、ブルンジ、ハイチなど、次の開発段階に移行中の紛争経験国20カ国で構成される自主的な集まりです。グループは紛争から次の持続可能な開発段階に移行する基盤として平和構築・国家構築を促進しています。紛争後の再建過程のとりわけ初期段階において、平和を維持する上で決定的に重要な要素は雇用の創出です。2014年3月の理事会においてILOは脆弱国におけるディーセント・ワークに関するハイレベル会合を開き、その際にg7+グループ事務局と覚書を交わしました。覚書は、雇用創出、技能開発、社会的保護、南南・三角協力の促進などといったILOの任務の主要分野においてパートナーシップを構築する上での脆弱国間協力の重要性に触れています。

 コンラート・アデナウアー財団は何年も前から利害関係者との政策対話及び人種間・宗教間宥和努力への支援を通じて紛争後の状況の安定化を目指し、脆弱国で様々な事業を行ってきました。同財団ブリュッセル事務所は2014年に、暴力、紛争、脆弱性を克服する解決策を支えることを目指す共通の手法の基盤について話し合う「脆弱国における関与のためのニューディール」の枠内で国際開発協力を評価する会議を開催しています。

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 以上はパートナーシップ・現地業務支援局によるブリュッセル発英文記者発表の抄訳です。