ILO新刊:ギリシャの雇用

ギリシャは長引く社会的危機のリスクに取り組む必要があると説くILO新刊

記者発表 | 2014/11/24

 このたび発表されたILOの新刊書『Productive jobs for Greece(ギリシャの生産的な仕事・英語)』は、ギリシャでは2008年の危機開始以来、4人に1人が職を失い、現在約130万人と推定される失業者の7割以上が1年以上の長期失業者であり、貧困に陥る危険がある国民の割合は5年間で2倍以上に増えた(2008年に人口の20%強→2013年に44%超)といったように雇用創出の速度には力がなく、何らかの行動を取らない限り、社会の危機は長引くと警鐘を発しています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、この決定的に重要な岐路にあるギリシャを持続可能な回復の道に乗せるには、政府、使用者、労働者の三者の結集の下で策定されるべき「人々と企業を支える緊急の措置が必要」と説いています。報告書をまとめたILO調査研究局のレイモン・トレス局長は、回復戦略は大体において、賃下げと財政強化が自ずと競争力を回復させ、経済成長を押し上げるとの前提に立って構築されたものの、競争力問題の起源には賃金以外の要因が存在することが報告書から明らかになったと説明しています。そして、戦略はこれまでのところ、財政再建の助けにはなったものの、「雇用と経済の持続可能な回復の点では期待された成果を達成できていない」と指摘しています。

 報告書は、最近講じられた、より深刻な社会問題に対処する措置に加え、雇用創出を支え、最も急を要する危機の影響に取り組み、経済を持続可能な路線に乗せる、緊急措置とより持続的な行動の両方から成る一連の措置を含む、より包括的な雇用戦略の必要性を説いています。緊急措置としては、◇すべての若者求職者と最もニーズを抱えている集団を対象とした労働力化保証、◇雇用を創出する道としての社会的経済の育成、◇小企業の資金融通機会の改善、◇財政強化が回復努力を損なわないように政策の組み合わせとペースを見直すことなどが含まれています。より長期的な措置としては、◇経済基盤の裾野拡大、◇未申告労働や働く貧困層問題への取り組み、◇社会的保護制度の十分な適用の確保、◇企業、労働者、教育提供者との提携による技能計画の設計や若者の就労体験・見習い研修の促進、公共職業安定業務や積極的労働市場計画の強化などといった人材関連措置の向上、◇社会対話の再建と団体交渉の分散化や協約適用におけるギャップへの対処などが提案されています。

 ライダー事務局長は、提案されている新たな成長・雇用戦略への転換を現実のものとするために、ILOはギリシャの政府及び社会的パートナーのみならず、欧州委員会とも協力する用意があると語っています。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。