ミャンマーにおける労働者の権利

日本政府も参加してミャンマーにおける労働者の権利の改善に向けた新たなイニシアチブが発足

記者発表 | 2014/11/14

 米国政府が音頭を取り、日本政府も参加して、ミャンマーにおける労働者の基本的な権利と慣行の促進に向けた新たなイニシアチブが発足しました。2014年11月13日に発表されたミャンマー、米国、日本、デンマークの4カ国政府とILOの共同声明によれば、このイニシアチブは、1)複数年にわたる労働法改革及び能力構築計画(労働改革プラン)を通じたミャンマーの労働行政制度の改善と、2)利害関係者間の協議の仕組みを通じたミャンマーの政府、企業、労働者、市民団体間の強固な関係の醸成を目指しており、ILOの支援を受けて現在進行中の法制改革活動などの、ミャンマーで既に見られる労働改革努力を基礎として展開される予定です。このイニシアチブの下で策定される労働改革プランはこのために、市民社会の代表との密接な協力の下でこういった改革を実行する政府の能力を強化し、法改正の優先事項を示し、ドナーの支援を調整する青写真として機能することが意図されています。利害関係者間の協議の仕組みは、企業、労働者、その他の市民社会の代表が労働改革プランの策定に関する手引きを政府に提供し、建設的な関係を育むための話し合いの場となることを目指しています。11月14日付の外務省報道発表によれば、本イニシアチブは、今年4月のオバマ米国大統領訪日時に発出された、日米両国間の東南アジアにおける連携強化等に関するファクトシートの一環と位置付けられるものとされています。

 イニシアチブの策定に向けた第一歩として、ミャンマー政府は2014年10月に就業機会部門別作業部会(EOSWG)の下に労働法改革・機構能力構築専門委員会クラスター(労働法改革クラスター)を設置しました。就業機会部門別作業部会とは実効性ある開発協力のためのネーピードー合意に基づいてミャンマー政府が設けた15の部門別作業部会の一つです。労働法改革クラスターは労働改革プランの策定においてミャンマー政府及び市民社会を支援する場をドナー・パートナー、利害関係者、ILOに提供することを意図しています。米国はこのプロセスを支援するものとして、政府の改革努力に助言を提供する労働法専門家のための当初資金をILOに提供しています。イニシアチブの参加者はまた、労働改革プランの策定に関する情報提供の場となる幅広い利害関係者の話し合いを2015年初めにミャンマーで開催することを予定しています。

 イニシアチブに参加する諸政府とILOはこのイニシアチブを支援する関心のある他の政府、利害関係者、その他機関の参加を歓迎します。ミャンマーの政治・経済発展は極めて重要な段階にあり、この国の将来は、経済を育み、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を創出し、グローバル経済に再び組み込まれるこの国の能力にかかっています。政府及び利害関係者はその投資環境の重要な要素の一つである労働市場管理体制の改善に向けて協働することによってミャンマーの長く続くプラスの発展を促進するというまたとない機会に直面しています。このイニシアチブは国際労働基準と責任ある事業慣行の促進、ミャンマーを魅力的な調達先・投資先とすることの支援、ミャンマーの労働者の保護と企業の支援、ミャンマー全体の持続可能な成長と開発の進展において政府及び利害関係者を支援するように設計されています。

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 以上はILOミャンマー連絡官事務所によるヤンゴン発英文記者発表の和訳に日本関連事項を盛り込んだものです。