ILO/ECLAC共同刊行物

雇用創出は限定的ながら中南米・カリブの今年の失業率は6.0%に低下?

記者発表 | 2014/10/15

 中南米・カリブの2014年下半期における経済の先行きは思わしくなく、雇用増は見込めないものの、地域の今年の都市失業率は6.2%であった2013年よりさらに低下して、6.0%または6.1%になると予想されます。このたび発表された、ILOと国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)が共同で年2回発行している刊行物『The employment situation in Latin America and the Caribbean(中南米・カリブの雇用情勢・英語)』の最新号(2014年10月発行第11号)は、この原因を労働力率の減少に置いています。国によるばらつきは大きいものの、主として賃金労働の伸びの弱さに由来する2013年に始まった地域の就業率の下降傾向はまだ続いています(2013年上半期56.0%→2014年上半期55.7%)。報告書はしたがって、失業率の低下を完全に肯定的なニュースとはとらえておらず、この背景にある労働力率の低下がますます多くの割合の国民、とりわけ女性の経済的な自立に影響を与える可能性を指摘しています。

 2部構成の報告書は、第1部で今年上半期の中南米・カリブ地域の雇用情勢を分析した上で、第2部でこの10年にわたって地域で見られる勤労所得の不平等縮小の助けとなった仕組みを説明しています。現下の景気低迷にかかわらず、地域の労働市場は近年おおむね好成績を示しており、報告書はフォーマル就業の増加と勤労所得分布の改善の間に見られる好循環を分析しています。2009年から2013年の間にフォーマル(公式)就業は12.7%増加して就業者全体の53.4%を占めるに至ったのに対し、インフォーマル(非公式)就業の伸びはわずか2.6%に抑えられました。2008~09年の危機後に見られるこのフォーマル就業の持続的な成長は給与労働者、学歴水準が中レベルの労働者、女性に特に利益をもたらし、女性の労働力化を促しただけでなく、学歴水準の違いによる就業者間勤労所得格差を縮小する助けになったことを報告書は示しています。

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 以上はILO中南米・カリブ総局によるサンティアゴ発英文記者発表の抄訳です。