ギリシャ:社会対話と労働法

労働問題に関するギリシャ政労使の対話再開に向けたトップレベル対話をILOが主催

記者発表 | 2014/09/30

 国際緊急融資を受ける見返りとしてギリシャで2010年から実施されてきた緊縮・経済改革計画は労働者の基本的な権利に相当の影響を与えているとして労働組合から理事会の結社の自由委員会に申し立てが提起されるような事態が発生していますが、9月30日にジュネーブのILO本部で同国の政労使代表が顔を合わせて労働問題について話し合う会合がもたれました。参加者は集団解雇と労使関係の分野に関するものを中心に主な労働法問題について対話を持ち、議論を進めていくことで合意に達しました。ガイ・ライダーILO事務局長は、社会対話は新たな仕事を創出できるような持続可能な政策の基礎をなすことを指摘して、失業率が最新の統計で27%と、欧州連合(EU)一高く、無職の人が130万人に達すると見られるギリシャで「人々を仕事に復帰させる非常に前向きの一歩」であるとしてこの合意を歓迎しました。

 今回の会合はギリシャのヨアニス・ヴルチス労働・社会保障・福祉大臣の要望によって実現しました。大臣は民間部門の一時解雇を司る現行法の評価と共に労働組合を司る法の改正提案に関する対話を労働組合及び使用者団体と行う場の設営をILOに依頼しました。ILOの調査は、集団解雇に関する現行の法的枠組みはILO及び欧州連合(EU)の基準に沿っていると結論づけました。社会的パートナーは最近改正された三者構成の最高労働評議会の手続きに対する信頼を示し、その機能の監視を一定期間ILOが手助けすることで合意しました。ロックアウトに関しては現行法を改正する理由がないことで認識の共有が図られ、争議行為に関する調査結果からは労働組合を保護する現行法はEUの法慣行に沿っていることが示されました。

 ギリシャでは現在、融資条件に沿った経済改革の進捗状況を監査する欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)のトロイカによる5回目の、そして多分最後となるであろう点検が行われています。ギリシャは今年、2007年以来初めてのこととして0.6%の経済成長を予測しており、来年は2.9%、2016年は3.7%とさらなる成長を見込んでいます。

 30日の会合には労働・社会保障・福祉大臣をはじめとしたハイレベル政府代表と、ギリシャ労働総同盟(GSEE)、ヘレニック企業連盟(SEV)、ヘレニック商業全国連合(ESEE)、ヘレニック専門職・職人・商人連合(GSEVEE)、ギリシャ観光企業連盟(SETE)といった労使団体のトップが出席しました。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。